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ホテルに着くと、ほどなく女性が部屋に来る。その一人、すらりとした美人のセリナさん(28)。
「こげん体だけん」と気にする客もいるが、セリナさんは笑顔で接する。好きな歌やお笑いの話もし、
着替えを手伝う。帰りは従業員が客を車で家まで送る。
セリナさんは客が部屋から出て、待機するヘルパーに会う時の顔が好きだという。「とてもいい顔。喜んでもらったのが分かる」。
ときどき、感謝のメールも届く。「不自由な手で大変だろうと思う」と気づかう。「おしゃれに気を配る男性もいる。
障害がある人もない人も、私たちにとっては、普通の男性」と語る。
障害者向け営業について、店の代表ヒガシアキオさん(42)は「送り迎えで一人の客に半日がかり。
事前訪問や運転手の手配も必要で人件費がかかる。実は、やればやるほど赤字なんです」という。
他にも経営する店が複数あってその収益で成り立たせている。それでも続けるのは「救われるから」だという。
借金生活から抜け出そうと風俗店を始めた。商売が軌道に乗っても「親兄弟や親類には言えない」と
葛藤(かっ・とう)があった。事故で下半身不随になった30代の男性客から「ここの女の子は優しいね。
ありがたいよ」と言われた。「社会で必要としてくれる人がいる」と思った。
「障害者は異性との出会いも恋愛も難しい」と知り、リフト車を買って営業を始めた。
障害者の自立支援のために活動するNPO法人・ヒューマンネットワーク熊本(熊本市)の山下紘史さん(54)が
障害者から受ける相談には「自分には男性、女性としての魅力がない」というものも多い。
「重度の障害者ほど、家族がつきっきりか、施設での生活が長い。大人扱いされず、自信が育ちにくい一方で、
異性への関心や恋心は芽生え、苦しんでいる。男性、女性として見られることは、人に大きな自信を与え、
人生を輝かせてくれる」(文中カタカナは仮名)(おしまい)