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・刑が軽くなるといいと思った-。
今月、名古屋地裁で開かれた少年(19)による連続強姦事件の裁判員裁判。判決後、2人の女性裁判員が
漏らした感想に、裁判員裁判の危うさを感じた。事件の受け止め方に個人差があり、それが判決に影響
されかねない裁判員制度の下では、特に性犯罪の場合、被害者が無用に傷つくこともあるのではないか。
07年9月~09年3月、名古屋市内で保護観察中の少年が当時17~26歳の女性4人をカッターで脅して
強姦したなどとして起訴された。被害者自身の証言はなく、調書の朗読も強姦の場面は裁判員に黙読を
促すなど、被害者に配慮した形で進められた。
男女3人ずつの裁判員は大半が中年だった。私は「女性裁判員の方が性犯罪への処罰感情は厳しいに
違いない。男性裁判員は少年の監督を約束した父親に共感するのでは」と感じていた。だが、記者会見での
質問に、裁判員からは予想を裏切る言葉が返ってきた。
女性裁判員2人は「女性としては許せないが、(男の子を持つ)親としては刑を少しでも軽くしてあげたいと
思った」「(少年に)同情はしないが、親の気持ちを考えると正直、刑が少しでも軽くなるといいと思った」と
感想を述べた。「目を覆いたくなった」「女性だから負う心の傷だ」と語ったのは男性裁判員だった。
法律を専門的に学んだ裁判官とは違い、一般市民で構成される裁判員は誰もが公平な目や耳を持って
いるわけではない。裁判を理解するために、特定の立場に感情移入してしまうこともある。女性裁判員の
2人は、女性としてではなく、少年と同年代の子の母親としての目線で裁判に臨んでいたのだろう。
私自身、被害を受けた女性の1人と同い年であることから、無意識のうちに被害者に近い立ち位置で
傍聴していたように思う。
性犯罪で傷つくのは体だけではない。女性としての誇りや自身が負った目に見えない傷は一生消えない。
「被害に遭ったことは親にも言えない」と泣き寝入りする女性もいる。性犯罪の被害を訴える勇気を持てずに
いる女性たちは、今回の事件の裁判員の感想をどう受け止めただろうか。【中村かさね】(抜粋)
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