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ジョン・ラーベ日記
十二月十八日
最高司令官がくれば治安がよくなるかもしれない。そんな期待を抱いていたが、
残念ながらはずれたようだ。それどころか、ますます悪くなっている。塀を乗り越えて
やってきた兵士たちを、朝っぱらから追っ払わなければならない有様だ。
なかの一人が銃剣を抜いて向かってきたが、私を見るとすぐにさやにおさめた。
私が家にいるかぎりは、問題はなかった。やつらはヨーロッパ人に対してはまだ
いくらか敬意を抱いている。だが、中国人に対してはそうではなかった。
兵士が押し入ってきた、といっては、絶えず本部に呼び出しがあった。
そのたびに近所の家に駆けつけた。日本兵を二人、奥の部屋から引きずり出した
こともあった。その家はすでに根こそぎ略奪されていた。日本人将校と発電所の
復旧について話し合っていたとき、目と鼻の先で車が盗まれたこともあった。
何とか苦労して取り戻すことができたが。将校の言うことになど、兵士たちは
ほとんど耳を貸さないのだ。