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妻といふものこそ、をのこの持つまじきものなれ。
「いつも独り住みにて」など聞くこそ、心にくけれ。
「誰がしが婿になりぬ」とも、また、「いかなる女を取りすゑて、あひ住む」など聞きつれば、
むげに心劣りせらるるわざなり。
ことなる事なき女をよしと思ひ定めてこそ添ひゐたらめと、いやしくもおしはかられ、
よき女ならば、この男をぞらうたくして、あが仏とまもりゐたらめ、
例へば、さばかりにこそと覚えぬべし。
まして、家の内を行ひ治めたる女、いと口惜し。
子など出で来て、かしづき愛したる、心憂し。
男亡くなりて後、尼になりて年寄りたるありさま、なきあとまであさまし。
―吉田兼好『徒然草』