09/11/28 07:57:35 0 BE:274337524-PLT(12556)
識字率の高さを日本人は古くから誇りとしてきたが、三十余年ぶりに、1990年代半ばから
約10年日本に滞在して大学生を観察した私の印象では、日本人の識字率はもはや
国際的に高い方ではない。多くの大学では、新入生用「基礎ゼミ」を設置して「読み書き」を教える。
そうでもしなければ大学教科書が読めないからである。教材には、中身が面白く、
文章が短く平明なものを選び、学生に順番に音読させる。
ところが、まず読めないのである。私が常識と考える漢字・熟語の多くで引っかかる。
というか、書物を読むという訓練がそもそもできていない。新聞を毎日読む者はと
手を挙げさせても全然挙がらない。この学生諸君は日本語が甚だ不自由なのである。
遠因は新聞主導のかな書きの蔓延(まんえん)にある。
つなぐ、うなずく、ひずみ、そろえる、ほころびる、かたくなな、あえぐ、つまずく、
ゆだねる、かかえる、はかる…。これは私が最近の主要全国紙の社説から拾った
ほんの一例である。「繋(つな)ぐ」という漢字を除くことは、「連繋(れんけい)」、
「繋留(けいりゅう)」といった熟語をも除くことになる。
本稿を書き上げた24日付の各紙社説だけを見ても、朝日「思いをは(馳)せて」、
毎日「貸しはが(剥)し」「めざ(目指)さなければ」、読売「いっそう(一層)」、
産経「わいろ(賄賂)」「うわさ(噂)」…。漢字一字を除くごとに、その何倍かの語彙(ごい)が
失われる。こうして、漱石はおろか、大学教科書も満足に読めない若者が大量生産されたのである。
*+*+ 産経ニュース 2009/11/28[07:57:35] +*+*
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