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IP電話会社「近未来通信」(東京都中央区)の経営破綻(はたん)から間もなく3年を迎える。
インターネット技術を使ったIP電話事業に出資すれば高配当が得られるとして、全国の約2000人
から400億円以上を集めた同社。海外に逃亡した社長、石井優容疑者(53)=詐欺容疑で
国際手配=の行方は依然分からず、出資金が返還されるめども立っていない。焦りの色を深める
被害者らは、捜査の進展に望みを託している。
「年金代わりにと欲を出したのがいけなかったのか」。埼玉県狭山市の自営業の男性(62)は、
紙切れと化した契約書を前に肩を落とす。04年秋、新聞広告で「IP電話サービス」を知った。
ネットと電話回線をつなぐ中継サーバーの設置に出資すれば、通話料を配当に回すという
触れ込みに心をひかれた。
説明会で「配当は月数十万円。2年で元が取れる」と聞かされた。案内された同社本社内の
「中継局」にはビデオデッキぐらいの大きさのサーバーが並び、赤と緑のランプが点滅していた。
「時代の波に乗っている」。05年3月、迷わずに1100万円を投資した。
順調だった配当が止まったのは06年9月。本社に行って社員に詰め寄ったが、
「後日、説明会を開く」と追い返された。同11月20日には、本社や支店が一斉に閉鎖され、
電話もつながらなくなった。受け取った配当は約200万円だけだ。老後を支えるはずだった
約900万円が泡と消えた。
男性は「いまさら金が戻ってくるとは思わないが、早く石井社長や元幹部らを逮捕してほしい」と訴える。
総務省の立ち入り検査で、同社が国内外に2466台あるとしていたサーバーは7台しか稼働しておらず、
05年7月期の売上高181億円のうち、「本業」の通話料収入はわずか約3億円だったことが判明。
急成長の実態は、投資家から集めた資金を配当に回す「自転車操業」だった。
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2に続く
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