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宇都宮地裁で二十一日に開かれる足利事件の再審初公判を前に、宇都宮地検や県警が
菅家利和さん（６３）を取り調べた際の録音テープの詳細が明らかになってきた。否認した
菅家さんに厳しく自白を迫る検事、誘導的な取り調べを繰り返す捜査員。弁護団側は「自白」の
任意性を検証する上で重要な証拠だとして、法廷でのテープ再生を求めている。 （横井武昭）
東京都内で十日に開かれた刑事裁判の誤判をめぐる集会。招かれた菅家さんと
佐藤博史主任弁護人は、足利事件の公判途中だった一九九二年十二月七日と八日に検事が
拘置中の菅家さんを取り調べたテープの内容を紹介した。
「（足利事件は）やってません」。それまでの公判で起訴内容を認めていた菅家さんが否認する。
翌日、「君から変なことを聞いたので今日来た」と切り出す検事。ＤＮＡ型や毛髪の鑑定結果を
突き付け「君の精液と一致する精液がある」と追及する。「ずるいじゃないか。僕の目を見ていないよ」
と迫られた菅家さんは「ごめんなさい。勘弁してください」と涙ながらに自白した…。
生々しいやりとりに会場が息をのんだ。佐藤弁護士は「冤罪（えんざい）を生んだ重大な原因が
記録されている。聞けば無実が証明できる」とし、地検がテープの公開を禁じたことを批判。
「私たちが求めるのは、なぜ冤罪が起きたかを明らかにすること。足利事件は、ようやく開いた
パンドラの箱（真相解明への道）を再び閉じようとしている者（地検）との戦いになった」と支援を求めた。
公判中の取り調べが明らかになり、違法性を指摘する声も上がる。ある法律家は「被告人の同意が
あれば問題ないが、別件の取り調べの中で足利事件に言及している。検察官の言葉もかなり圧迫を
感じさせ、違法である可能性は否定できない」と指摘。さらに「菅家さんが検察官の前で“自白”
してしまったことが精神的プレッシャーとなり、その後の公判で自白と否認を繰り返したことに影響した
可能性もある」と話す。
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２に続く
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