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プロジェクトX~挑戦者たち~ レクサスIS-Fの挑戦。奇跡のヌポーシ車-高級スポーツっぽい車の誕生
トヨタ首脳陣から、レクサスのスポーツ車を作れと迫られていた。 思案に暮れていたとき、社長は意外な事を言った。
「ISを改造してはどうだろう」 工場長は戸惑った。 アルテッツァを二重改装して高級スポーツ車ができるのだろうか。
「無理です。出来ません」工場長は思わず叫んだ。 「俺たちがやらずに誰がやるんだ。俺たちの手で作り上げるんだ!」
社長の熱い思いに、工場長は心を打たれた。 そして、三河商人の血が騒いだ。「やらせてください!」
それから、夜を徹しての偽装高級スポーツ車作りが始まった。
タイヤ、ハンドル、ペダル、内装をスポーティ系にした。マフラーをイジッて官能サウンドを演出してみた。下手糞ドライバーでもアグレッシブなドライブができるよう電子制御装置を搭載させた。
しかし、本物の高級スポーツ車の味は出せなかった。 工場長は、来る日も来る日もスポーティパーツと戦った。
いっそ、BMWに転職すれば、どんなに楽だろうと思ったこともあった。 追い詰められていた。
そこへ社長が現れた。そしてこうつぶやいた。 「発想を変えるんだ。高級スポーツ車は性能だけで高級なんじゃない」
そうだ。カタログスペックだ。カタログスペックで高級スポーツにする手があった。暗闇に光が射した気がした。
エンジンに5㍑V8をのっけた。ミッションはLSの8段ATにした。価格は766マンにした。
高級スポーツ車特有のカタログスペックが蘇った。 「これだ、これが探してた俺たちの高級スポーツ車なんだ!」
カタログスペックだけの偽装高級スポーツ車の誕生だった。
社長と工場長と従業員は、工場の片隅で朝まで飲み明かした。 工場長は、充足感に包まれ、涙が止まらなかった。
「社長、完成したIS-Fで爆走して日本海に叫びに行ってきてもいいですか」工場長は言った。
「ああ、いいとも。だが制限速度は守れよ。中身はトヨタのままだからな」 社長は自分のジョークに、肩を揺らして笑った。