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28日午前、円高が一時、1ドル=88円台に進んだ。輸入野菜などは値下がりが見込まれるが、
輸出にかかわる人たちは不安を募らせる。
28日朝9時。東京都葛飾区の機械製作所の社長(56)はパソコンを立ち上げて円の高騰に
気づいた。「上がっちゃった……」。まさか80円台までは行かないだろうと思っていた。
ちょうど中国向けに高性能のねじを作る機械を10台、輸出する準備をしている。ドル建てで
4千万円の見積もりを出し、「あとは先方の決定で成約に結びつく段階」だ。ただでさえ、先方からは
値段を抑えてくれといわれている。
「1円高くなれば利幅が約40万円減る。従業員1人の人件費が飛ぶ額です」
藤井裕久財務相の円高容認の発言には憤りを感じる。「民主党は大衆受けするバラ色の話をして
きたが、長期的に見て大丈夫なのか。日本経済がめちゃくちゃにならないよう、国の財政のトップなら
発言に気を付けてほしい」
一方、輸入野菜や果物は値下がりが見込まれる。大手青果卸売の東京青果(東京都大田区)に
よると、豪州産のカボチャやニンジン、中国産のネギやシイタケ、南アフリカのグレープフルーツ、
南米のキウイやブドウなどが安くなりそうだ。
ただ、国内農家にとっては円高は逆風だ。「スーパーに安い輸入品ばかり並ぶようになると、国内
農家はすぐに立ちゆかなくなる」と担当者。台湾や中国、シンガポールの富裕層向けにようやく軌道に
乗り始めた日本産の桃やリンゴなどの輸出にも影響する。
都内の青果仲卸会社の役員は「スーパーはすぐに円高還元セールをやりたがるが、割を食うのは
我々仲卸や国内農家だ」とぼやいた。
asahi.com 2009年9月28日18時51分
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