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60年前、木星は通りすがりの彗星を引力で引き寄せ、12年間にわたって“臨時衛星”として
抱え込んだ後、こともなげに放出していたことが9月14日の科学者チームの発表で
明らかになった。同様の現象が数百年以内に再び発生する可能性があるという。
東京流星ネットワークの大塚勝仁氏率いる国際的な研究チームによると、木星は1949年に
串田・村松彗星(147P/Kushida-Muramatsu)を引力によって捕獲し、1961年までその周囲を
公転させていたという。直径400メートルのこの彗星は1993年に初めて発見された。
それ以降積み重ねられてきた計算を基に過去の軌道を調べた結果、一時的に木星の
衛星であったことが今回明らかになったのである。
イギリスのアーマー天文台に在籍している研究チームのメンバー、デイビッド・アッシャー氏は
「串田・村松彗星は木星の影響圏から離脱するまで、1、2度周回した。それはほぼ
間違いない」と話している。
今年の7月には木星の表面に謎の衝突跡が発見されたが、それも同様の
臨時衛星が大規模な衝突を起こした結果なのではないかとアッシャー氏は考えている。
串田・村松彗星はそれらの天体と違い、最終的には木星の引力から離脱した。
現在は、火星と木星の間にある小惑星帯で太陽の周りを公転しているという。
しかし、また別の彗星が木星の衛星になる運命にある。
2068年から2986年までの間にヘリン・ローマン・クロケット彗星
(111P/Helin-Roman-Crockett)が木星に捕獲され、その周りを6周するとみられている。
木星と同様に地球にも引力があるが、彗星が捕獲され衛星化する可能性は
あるのだろうか。アッシャー氏によれば、可能性は低いという。
「小さな天体が地球に捕獲され、その後離脱した例はいくつか確認されている。
可能性がないわけではない。しかし衝突した場合に深刻な被害が出そうな
大型の天体は、木星に捕獲される可能性が高い。その意味では、地球は木星に
守られていると言える」と同氏は解説する。
この研究成果は9月14日、ドイツのポツダムで開催された欧州惑星科学会議で発表された。
(一部省略)
ソース:ナショナルジオグラフィックニュース
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)