09/09/01 22:55:39 km1XaY8P0
昨日の日本の総選挙の結果は「民主党の大勝」よりも「自民党の大敗」の方が、
はるかに意味が大きい。民主党では「政権交代」「政治を変える」というスロー
ガンが目立ったが、これは要するに「自民党の政治ではもうダメです。だから、
わが党に政権を担当させてください」ということだ。民主党のマニフェストには福
祉重視が掲げられており、これが勝因だったと考える人もいるかもしれないが、
私はそうは考えない。日本の中道左派の各政党は、以前から福祉重視を掲げていたが、
これまでは自民党に勝てなかったからである。
自民党が大敗した最大の理由は、昨秋からのひどい不況の責任をとらされた
からだろう。大不況が起きていなければ、自民党政権が難なく続いていた
はずだ。この世界不況は、米国の金融危機が引き起こしたものであり、
自民党には大して責任はない。昨秋のリーマンブラザーズ倒産を契機に
起きたレバレッジ金融システムの大収縮は、世界経済の基盤となっていた
金融システムの大崩壊であり、日本政府がいくら全力を尽くして上手に
対策を打ったところで、景気の早期好転ができたとは思えない。
米国発の国際金融危機は、まだ終わっていない。このところ、米国の株価や
大手銀行の業績は好転しているが、これは昨秋いったん底が抜けたレバレッジ
金融システムが一部機能回復しているからで、米経済の根幹だった「借金に
よる米国民の消費」のシステム自体は破綻の兆候が増しており、不動産の
価値下落は住宅から商業不動産へと拡大している。日本の預金保険機構に
あたる米FDIC(連邦預金保険会社)が最近発表したところでは、米国で
問題を抱える金融機関は、今年3月末時点の305行から、6月末時点の
416行へと増加した。金融界には、2年以内に1000行が破綻する
という予測もある。
次に米国発の国際金融危機が再燃し、いったん好転するかに見えた日本の
景気も再び悪化してW字型の不況になるとしたら、その時には民主党政権の
責任にされかねない。日本のマスコミや世論は、日本で起きていることを
世界敵視野で分析できず、日本だけの出来事として考えてしまう。民主党政権は、
意外と短命に終わる可能性がある。