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日経新聞春秋 (8/26)
「言葉じりをとらえるな」。失言の尻ぬぐいに追われ続けた官房長官からおしかりを
受けそうだが、やはりちょっと看過できない。麻生首相が若者に向け「カネがないなら
結婚はしない方がいい」という趣旨の助言をしたとされる件だ。
▼ご隠居さんが訳知り顔で世知を説き、粋がっているならまだ分かる。民のかまどから
煙が消えれば心を痛めるのが為政者のはず。貧しくともこつこつ働き、何とか子を育てる
若い親の心にも、この言葉は突き刺さったのではないか。続けて、稼ぎがなければ尊敬
されないとも。職を探す人々の耳にどう響いたろう。
▼先行きが不安なら結婚をためらうのも無理はない。就職氷河期は晩婚化や少子化を加速した。
経済はわれわれが立て直すから安心して結婚準備をとなぜ言えないのだろうか。今回の総選挙
若者の関心はふだんより高そう。劣勢と予測される自民党の当選者を、党首のオウンゴールで
さらに減らしたかもしれない。
▼そもそもカネがない人は結婚すべきではないとの考えは妥当か。一人口は食えなくても二人口は
食える、と昔からいう。「結婚は人生のコストとリスクを減らす弱者のための生存戦略。貧しい人が
結婚しても貧困を再生産するだけ、などという俗説を真に受けるな」。こちらは内田樹・神戸女学院
大教授の助言だ。
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