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高層団地の谷間に祭りばやしが流れる。衆院選公示後、最初で最後の日曜日となった
二十三日、東京都新宿区の都営戸山団地で、夏祭りが行われていた。
人だかりができたスイカ割りコーナー。「エイッ」と木刀を振り下ろす浴衣の女性も、
「アーッ」と歓声を上げる人たちもお年寄りばかりだ。孫世代の子どもはいても、
二十~五十代の姿がほとんど見えない。
六十五歳以上の高齢者が半数を超える都会の「限界集落」。通りのような中庭で、
やぐらのない盆踊りや、焼きそばの出店をささやかに楽しんだ。
投開票一週間前の日曜日だが、激戦を続ける候補者の姿はなく、選挙カーもほとんど
通らない。祭り会場の外に出ると人通りはほとんどなく、せみ時雨に包まれる。
「ちょっとだけ踊りの輪に入ったの」と話す女性は九十歳。投開票日の八月三十日は
六十数年前、フィリピンで戦死した夫の命日だ。「その時一歳だったせがれも六十代。
投票にも靖国神社にも行きますよ」と笑顔を見せた。
管理人を置かず、住民互選の役員が行事や維持管理を行ってきたが、足や耳が
悪い人が増えてきた。共益費の集金などの当番を頼める家が、二十世帯のうち
八世帯しかないブロックもある。
戸山団地連絡会副代表の山崎揮市郎さん(65)は「僕だって動けるのはあと五年ぐらい。
政治に望むのはお年寄りをどう見守っていくか、それだけですよ」。住民同士で
行ってきた見守りも、行政の取り組み無しにはいつまでも続かない。
(後略)
高齢化に拍車を掛けたのが九〇年からの建て替え工事。完成した十六棟約二千三百戸には
1DKの部屋が多く、独り暮らしのお年寄りの入居が急増した。「国の方針が
理解できない。若い人が入れるようにしてほしかった」と元営業マンの男性(77)は憤る。
終日、候補者が団地を訪れることはなく、気になる医療や介護の話も
聞くことはできなかった。
「マニフェスト選挙と言ったって、自民党と民主党でけなしあっているだけ。
いつかお世話になる福祉に力を入れてくれる人を選びたいんですが…」
そう男性はつぶやいた。
*+*+ 東京新聞 2009/08/24[07:26] +*+*
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