09/08/18 12:56:13 0
(>>1のつづき)
障害のあるなしにかかわらず、子どもたちが一緒に学ぶ「インクルーシブ(包み込み)教育」が世界的に
定着しつつある。
学校教育法施行令によると、一定程度の身体・知的障害がある子どもは特別支援学校へ入学するが、
適切な教育が受けられる事情があれば、小中学校に入学させなくてはならない。08年度の文科省の
調べでは、障害があっても小中学校に通う子どもは全国で計2561人いる。
町教委は当初、下市中は階段や段差が多く、財政難のためエレベーターやスロープ設置などの
バリアフリー工事はできないと主張していた。
下市町は、人件費や公債費などが占める割合を示す経常収支比率が98・1%(08年度)で、自由に
使える金がほとんどない。
職員給与をカット。町道の補修も業者にコンクリートなどを渡してボランティアでしてもらうことさえある。
校舎のバリアフリー工事は国の財政支援が受けられるが、町の支出も必要になる。
ある幹部は「急に億単位の工事ができる状態にはない」と訴えた。実際、校舎はそのままで入学を認めた。
学校全体がバリアフリー化されて少人数で授業が受けられる養護学校の方が谷口さんにふさわしいと
判断したのも、ある程度は理解はできる。子どもや保護者の中には特別支援学校を希望する人も少なくない。
しかし、一緒に学ぶことによる効果は周囲の子どもたちに及ぶ。谷口さんと小学校で同級生だった
女子生徒がこんなことを話してくれた。
運動会のリレーに谷口さんも参加することになったが、校庭を1周することまではできない。
同級生たちは「どうしたら明花さんに負担をかけないか」と話し合った。結局、足が速い児童が2周近く
走ることになった。女子生徒は「人のことを考えるようになったと思う。明花ちゃんは普通の友達」と話した。
私は街角で車椅子の人に出会うと、どうしたら良いのかとうろたえてしまう。谷口さんと一緒に学ぶ
下市中の生徒たちは、必要な時に車椅子を押したり、荷物を持ってあげたりすることを自然に学び取って
いくだろう。教科書や短時間の実習では学び切れない貴重な体験になるに違いない。(奈良支局)
(以上、一部略)