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いまオンナは「冷麺」にやみつきだ。うだるような暑さの中、ウマいと評判の冷麺店
の前には女性客が長蛇の列をつくっている。週末に予定した気になるアノ子との“勝負
デート”に備え、独身男は冷麺の「イロハ」を押さえておこう。
東京・銀座4丁目の路地裏で、若い女性が扇子でパタパタとあおぎながら行列してい
る。
(中略)
ひと口に冷麺といっても、大きく3タイプに分かれる。北朝鮮で生まれた平壌式と咸
興(ハムフン)式、両者の特徴を取り入れた盛岡式だ。違いは麺の素材とコシの強さ。
麺の色は作り手次第で変わる。
平壌式の麺はそば粉主体で、咸興式はサツマイモやジャガイモのデンプンがメーン。
平壌式は太麺でも噛み切りやすいのに、極細麺の咸興式は噛み切れないほどコシが強
い。北朝鮮では穀物の実らない真冬に食べられていた。
盛岡冷麺の原形を作ったのは、1954年に盛岡・大通で「食道園」を開いた在日朝
鮮人1世の青木輝人さん(故人)。幼少時に半島で味わった記憶を頼りに試行錯誤を重
ねた冷麺が人気を得て、一気に広まったという。
(中略)
オンナはなぜ、そんなに冷麺に夢中になるのか。「ソウルマイハート」などの著書が
あり、芸能界きっての韓国通で知られる女優の黒田福美さんはこう言う。
「冷やし中華ほどしつこくないですし、スープも味わえるところが女性ウケする魅力だ
と思います。シコシコ麺の歯ごたえと、甘酸っぱくてサッパリとしたスープの味わいは
とても新鮮。最近はシャーベット状に凍らせたスープのシャリシャリ感を楽しむ冷麺も
あって、食欲の落ちる夏にピッタリなんです。韓国の女性も暑い時季は冷麺をよく食べ
ますよ」
冷麺のスープは調理も管理も手間がかかり、基本的に1日使い切り。腕に自信のない
店では、オイソレと出せないという。だからこそ、食にうるさいオンナが冷麺に熱を上
げるわけだ。
ちなみに、麺は非常にのびやすいので、食べる前に注文すべし。
(日刊ゲンダイ2009年8月7日掲載)
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