09/07/24 08:26:47 0
★前駐米大使(プロ野球コミッショナー)・加藤良三
・故ハーマン・カーン博士はかつて、民主主義国が直面する脅威は「外からの侵攻」と「内からの浸食」で
あると述べた。昨年アメリカから帰国して、日本ではその一つ、「内からの浸食」が進行しているなと思った。
まず、日本人同士の連帯感、思いやりの心が希薄になった。それと反比例するかのように、「文句」と
「他人批判」によって人を「萎縮」させる達人が多い。これにはマス・メディア、就中(なかんずく)テレビの
責任が大きいと思う。
或るアメリカ人の表現を借りると、マス・メディアは最早「インフォメーション」の提供を使命とせず、
「インフォテインメント」(汎娯楽化)の世界と化している。「ジャンク・フード」さながら、供給する側も
消費する側も、健康に悪いと知りつつやめられないでいる。
ニュースですら、中途半端な「実況放送」が多い。「事実報道」といいながら、画面でしゃべる人間が
自分の主観らしきものを混入して「世論」を「誘導」し、それに快感をおぼえている。こういうマス・
メディアの状況は子供染みていると感ずる。
もう一つは、日本における情報管理の杜撰さである。
情報に関する限り、アメリカには中国の方が日本よりも常識的に見えるのではないか。総じて
日本には、自らの一挙手一投足を他の世界から「見られる」存在になったという認識が希薄である。
「大勢順応」に馴れすぎて、国外からの視線を意識する感度が低い。
安保・防衛政策の話になると必要以上に関係国の意向に気兼ねする。連帯感の希薄化、情報管理の
杜撰さは、日本が戦後64年間戦争から「鎖国」してきたことと関係があると思う。
対照的なのは、アメリカだ。
私はオバマ大統領の誕生は、アメリカが第一次大戦から今日まで一貫して主要な戦争に関与して
来たことと無関係でないと思っている。戦争は最も苛酷な経験である。アメリカ国民は長きにわたり、
その経験を共有せざるを得なかった。
戦争体験の共有は間違いなく人種やジェンダーの垣根を低くした。(>>2-10につづく)
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