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人と人とのコミュニケーションを豊かにするはずの技術が悪用され、
子どもの人生を奪っている。増加を続けるインターネット上の児童ポルノ犯罪。
奈良県警が1月に摘発したファイル交換ソフトによる事件では、自営業の男が開設した
サーバーにマニア約200人が群がっていた。
交換されていた画像には5歳ぐらいの女児への強姦(ごうかん)場面もあった。
捜査員が付け加える。「内容から親が撮ったとしか思えない」。6月に
宮城県警が摘発した事件では、パートの女が2歳の娘を裸にして撮影し売っていた。
昨年検挙された児童虐待事件の3割近くが性的虐待だった。82件で4年前の2・1倍。
最も顕在化しにくい虐待とされ、実際は統計よりはるかに多いはずだ。生きていくうえで大切な「性」を、
自分を一番守ってくれるはずの親に傷つけられる。以前精神科の閉鎖病棟で会った
被害少女たちは、事件から何年たっても入退院や自殺未遂を繰り返し、医師は回復への道の険しさに言葉を詰まらせた。
子どもを保護すべき立場の者として絶対に越えてはならない壁が崩れていく。特異な親たちの話だけだろうか。
この国では児童の性虐待画像を入手することが合法で、大人社会が子どもを性的な対象と
見ることを許している。一度製造されたデジタル画像はマニアの手から手へと渡り、被害児童をおびえさせている。
国際社会の非難でようやく国会が重い腰を上げ、入手した者も処罰する法改正案ができたのが1年前。
政局の混迷でたなざらしになり、ようやく審議が始まったが、衆院解散で廃案になるという。
審議入り前、レイプ場面を撮られた少女はこう訴えていた。「早く安心して眠りたい」
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