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★リニア新幹線の候補3ルート 地元引き込みにこだわる長野県
・「地域エゴと言われますが違います。県外の方は、経緯を知らないのでそう思うのでしょう」
長野県諏訪商工会議所の有賀昭彦会頭はこう語る。東京~名古屋間を約40分で結ぶリニア中央
新幹線のルート問題についてだ。
2025年開業を目指す東海旅客鉄道(JR東海)が6月18日、3つの候補ルート別の建設費試算を
発表した。最も安いのが、南アルプスを貫通する直線ルート(路線距離286キロメートル)で
5兆1000億円。対して、長野県内で大きく迂回する木曾谷ルート(同334キロメートル)と諏訪・
伊那谷ルート(同346キロメートル)は、それぞれ5兆6300億円と5兆7400億円と試算された。
所要時間も直線ルートより7分ほど余計にかかる。
建設費を全額自己負担で賄うJR東海が想定するのは当然のことながら、直線ルートである。
距離が最も短く、リニアの売り物である高速性が十二分に発揮できるからだ。建設コストや
走行距離が増えれば、運賃にも跳ね返る。
しかし、本命視される直線ルートに異を唱えるのが、長野県。素通りされてはならじと、迂回ルート
実現に懸命だ。
リニア中央新幹線の基本計画は1973年に決定されたが、当時は遠い未来の夢物語と思われていた。
3つの想定ルートは当初からあったが、直線ルートは技術的に難しいとされ、2つの迂回ルートが
有力視された。長野県内の2つの沿線で引っ張り合いが始まったため、県が調整に入り、諏訪・伊那谷
ルートで一本化。89年のことだ。以来20年間、長野県は「県民の総意」として、諏訪・伊那谷ルートの
実現を訴えてきた。
しかし、技術の進歩が事態を変えた。直線ルートが実現可能となり、わざわざ迂回する必要性が希薄に。
他県のリニア担当者は「JR東海は長野に対してもっとていねいに説明すべきだ」と語る。でなければ
混乱は必至である。
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※ルート比較画像:URLリンク(kenplatz.nikkeibp.co.jp)
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