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大阪大学総長に「TBSはもう見ない」と言われる
鷲田 清一 大阪大学総長、哲学者
メディアは、「私情調査」のみならず、「私刑」にかかわってしまうこともある。
4月下旬のことである。TBS系報道番組のTHE・NEWSは、その日の特集の一つとして、
以前茨城県で起こった通り魔事件を取り上げ、容疑者の青年が、現代日本を代表する
一哲学者の著作を愛読していると報じていた。
○何のために「容疑者の愛読書」を報じたのか
その報じ方に寒気がした。どのような内容、どのような趣旨の本なのかの説明はまったくない。
ただそのなかのある一行を、前後の脈絡にもふれずに、思わせぶりにハイライトで撮すだけ。
その本を手にしながら語るアナウンサーだけでなく、報道内容の責任者であるはずの
ニュース・キャスターからも、そのあと論評や検証の言葉が口にされることはなかった。
困惑する著者へのインタビューもあったが、それも20秒くらい。「怖い」というイメージだけが
多くのひとに残ったのではないかとおもう。「風評を流す」とはまさにこのことではないかとおもった。
「ブログ炎上」のようなことが起こるかと危惧したが、その後、新型インフルエンザ、
民主党代表選挙と、メディアが別のニュースで盛り上がったのは幸いであった。
もし、この犯人が浄土真宗の檀家に属していたら、メディアによるこの「私刑」は、
「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という親鸞の言葉にも向かったかもしれない。
メディアは、「イメージ」という名のもっとも感染力の高いウィルスの保有者である、
あるいはありうる。この事実をメディアはもっと怖れるべきだ。
以来わたしは、宵の口、受像機をこのチャンネルに合わせていない。
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