09/07/07 10:11:54 8iFuIT2PO
>>206続き
Q―日本人が中共をこはがらないのは一種の幻想的な“大平感”なんだらうけれど、
日本にさういつた幻想があることも、また一つの現実ぢやないでせうか。
三島由紀夫:たしかにさうですね。
幻想(イリュージョン)といへどもなにかの現実的条件によつて保たれてゐる。
ぼく自身は、日本にも中共の脅威はある、と感じてゐます。
これは絶対に「事実(ファクト)」です。
しかし、日本人が中共に脅威を感じないといふことは「現実」です。
「現実」とはぼくに言はせれば、事実とイリュージョンとの合金です。
「現実」をささへてゐる条件は、いはくいひがたしで、恐らく何万といふ条件があるでせう。
海もあるし、長い中国との交流の歴史もあるし……。
ものを考へようとするとき、片方の「現実」を「事実」だけでぶちこはさうとしてもダメです。
幻想をくだくには幻想をもつてしなくつちや。
ですからもし、ぼくが政治家だつたら……。
Q―「中共はこはくない」といふ幻想は、どうやつてくだきますか?
三島由紀夫:「中共はこはい」といふファクトではなく幻想をもつてですよ。
三島由紀夫
「インドの印象」より