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NHKは本当に変わったか―実力か、民放各社の衰退か?(上・下) より抜粋
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海老沢体制が縦割り組織をさらに悪くした
NHKは「報道、制作、営業など局が違えば別会社」(NHK中堅職員)というほど、
一般会社以上に強固な縦割り組織だ。さらに報道局内でも政治部、経済部、社会部などは縄張り意識が強い。
それに輪をかけたのが、1997年から05年まで会長を務めた海老沢勝二氏といわれる。
「出世するのは(海老沢氏の出身である)政治部の記者ばかり。重要ポストは側近で固め、
独裁体制を築いたことにより、親分子分主義に拍車がかかった」とNHK関係者は語る。
制作する番組の内容についても、「政治に近かった海老沢体制下では、(政治や過去の戦争関連など)踏み込んだものは、
作りにくかった。ケチをつけられないように上層部の顔色をうかがいながら制作していた」
(元プロデューサーのNHK職員)という。ジャーナリストらしい踏みこんだ内容の番組作りがしづらい環境になっていたのだ。
さらに04年にプロデューサーの番組制作費着服など一連の不祥事が発覚し、NHKに大逆風が吹き荒れる。
その後、海老沢氏は辞任。後任で技術局出身の橋本元一前会長は、コンプライアンス強化など進めたが、
09年度始動の経営計画の内容をめぐってNHKの最高意思決定機関である経営委員会と対立。
昨年1月には、職員によるインサイダー取引も発覚し、辞任を余儀なくされた。NHKに対する風当たりはますます厳しくなっていた。
混乱が続くNHKの抜本改革に向け、当時の経営委員長だった古森重隆氏(富士フイルムホールディングス社長)に
請われて会長に就任したのが、アサヒビール相談役だった福地氏だ。会長が外部起用されたのは、
三井物産の池田芳蔵氏以来19年ぶり。就任当初、福地会長の手腕は疑問視されることが多かった。
池田氏が国会答弁の不手際などで、わずか9カ月で辞任したという過去があるのに加え、
「メディアの素人に、NHKの経営はできない」という見方をされたためだ。
>>2-10辺りに続く