09/05/28 13:42:02 CXyTCXYl0
秦郁彦「現代史の争点」文春文庫、2001年
「渡部昇一氏は、97年9月9日の東幼会総会における講演で次のように述べている。
先日、ある編集者がラーベ日記のレジメを持って感想を聞きにきた。読んでるひまがない
ので、二点だけたしかめた。「何人殺したと言っているか」と聞くと三万人ぐらい、すべ
て兵士だとのことだった。戦争で兵士を殺すのは虐殺とは言わぬ。ラーベ日記の現物をみ
れば大虐殺はなかったことが証明できる・・・
森羅万象何でもナデ切りにする渡部氏のことだから、少々のことは私もおどろかないが、
この放言ぶりには恐れいった。ラーベを読まずに伝聞か思いこみで切り捨てているわけ
だ・・・」
「この(ラーベ日記に記載された民間人の殺害数)5~6万人という数字は・・・・・・い
わば論議の出発点となる重要な数字なのに、渡部氏は97年9月の東幼会総会で、ラーベが
「三万、すべて兵士だ」と書いていると紹介したのち、「ラーベ日記の現物をみれば大虐
殺はなかったことが証明できる」と講演した。ラーベ本人が申し立てた「民間人五~六
万」を「兵士三万」とまちがえて紹介するたぐいの「放言ぶりには恐れいった」と私は書
いたつもりだ。
ところが渡部氏は三月号で今度は、四、五万とまちがえて紹介しているので、私は「恐れ
いる」よりも呆れた。どうやら氏はラーベ日記を読まずにラーベを論じているらしいとわ
かった」