09/05/26 21:31:52 CkJLymcD0
西山事件の最高裁判決を読まずして、西山事件は語れないだろ。
被告人は、昭和四六年五月一八日頃、従前それほど親交のあつたわけでもなく、
また愛情を寄せていたものでもない同女をはじめて誘つて一夕の酒食を共にした
うえ、かなり強引に同女と肉体関係をもち、さらに、同月二二日原判示「ホテル
C」に誘つて再び肉体関係をもつた直後に、前記のように秘密文書の持出しを依
頼して懇願し、同女の一応の受諾を得、さらに、電話でその決断を促し、その後
も同女との関係を継続して、同女が被告人との右関係のため、その依頼を拒み難
い心理状態になつたのに乗じ、以後十数回にわたり秘密文書の持出しをさせてい
たもので、本件そそのかし行為もその一環としてなされたものであるところ、同
年六月一七日いわゆる沖縄返還協定が締結され、もはや取材の必要がなくなり、
同月二八日被告人が渡米して八月上旬帰国した後は、同女に対する態度を急変し
て他人行儀となり、同女との関係も立消えとなり、加えて、被告人は、本件第一
〇三四号電信文案については、その情報源が外務省内部の特定の者にあることが
容易に判明するようなその写を国会議員に交付していることなどが認められる。
そのような被告人の一連の行為を通じてみるに、被告人は、当初から秘密文書を
入手するための手段として利用する意図で同女と肉体関係を持ち、同女が右関係
のため被告人の依頼を拒み難い心理状態に陥つたことに乗じて秘密文書を持ち出
させたが、同女を利用する必要がなくなるや、同女との右関係を消滅させその後
は同女を顧みなくなつたものであつて、取材対象者である同女の個人としての人
格の尊厳を著しく蹂躙したものといわざるをえず、このような被告人の取材行為
は、その手段・方法において法秩序全体の精神に照らし社会観念上、到底是認す
ることのできない不相当なものであるから、正当な取材活動の範囲を逸脱してい
るものというべきである。