09/05/25 12:47:27 0
軍事にばかり目が向いていると、日本の宇宙開発は先細りになりかねない。麻生首相
を本部長とする政府の宇宙開発戦略本部が初めてまとめた宇宙基本計画案を見ると、改
めてこんな懸念を抱く。
計画案は、アジアの防災に貢献する陸や海の観測、気象観測など五つの利用分野と、
宇宙科学や有人活動など四つの研究開発分野を挙げ、今後10年を視野において5年間
で進める計画を掲げている。今月末に正式決定される。
安全保障はその利用分野の一つだ。昨年5月にできた宇宙基本法で道が開かれた。早
期警戒衛星の研究開発が盛り込まれているのが目を引く。
この衛星はミサイル防衛システム用だ。高熱の物体が放つ赤外線によってミサイルの
発射を知る。技術的な難しさに加え、解析システムの開発なども合わせると費用は巨額
になり、導入には消極的な意見が少なくなかった。
しかし、北朝鮮が4月に行ったミサイルの発射実験をきっかけに、自前の衛星を持つ
べきだという声が与党内で一気に盛り上がった。
導入するかどうかは、年末に予定される防衛計画大綱見直しの際などに議論される。
その必要性や費用はもちろん、日本が宇宙の軍事利用に本格的に乗り出すことで国際的
な緊張を高めないか、十分に考える必要がある。安定した官需を求める宇宙産業の事情
に引っ張られて先走ってはならない。
(続く)
URLリンク(www.asahi.com)