09/05/23 19:33:12 0
これが、「法改正でカバーできるようになる」(経済産業省知的財産政策室)。
欧米各国に比べてスパイを取り締まる法整備が遅れており、“スパイ天国”などと揶揄されてきた日本。
今回のダブル規制で、ようやく法律は欧米並みに追いついたと言える。が、それでも安心できない。
(中略)
十分とは言えない法整備
外為法と不正競争防止法の改正で、スパイ目的の行為をある程度は抑制できる。
しかし、脅威そのものの数が増えているとなれば、安心はできない。油断も大敵だ。
スパイなんか映画や小説の世界―。そう思っていると、思わぬところで足をすくわれかねない。
「うちには大した情報はないよ」。そんな慢心こそが脅威とも言える。ともすれば企業の利益を損ねるだけではなく、
国家の安全保障を脅かす事態へと発展しかねない。
2005年に発覚した「ニコン事件」。ロシアのスパイだと見られる在日ロシア通商代表部の
人間にやりこめられ、赤外線センサーの部品を渡してしまった元主幹研究員は、
まさかその部品がミサイルの追尾センサーに転用可能な技術だとは思っていなかったと供述している。
ロシア通商代表部の人間は、よくある技術展示会で研究員に声をかけ、「友達になりたい」と言って
都内の居酒屋に誘い出し、研究員の仕事に異様なまでの執着心を見せ、感心してみせた。
そして、「その技術が欲しい」と要求した。緊張されないように、見返りは毎回の飲食代のほか、毎回、数万円程度の現金。手口は巧妙だ。
実は、スパイを巡る法整備も完璧というわけではない。当局が事件を把握し、容疑者を確保、
法改正によって起訴まで持ち込めたとしても、そのことが逆に被害企業の首を絞める可能性もある。
現在の法律や運用では、刑事手続き、公判のプロセスの中で、盗まれた機密情報の内容自体が
マスコミの報道や起訴状などによって、公になってしまうこともあり得る。
米国などでは、非公開で刑事手続きを進めたり、法廷で機密情報の内容を隠しながら公判を
進めたりする仕組みがあるが、日本にはまだない。
改正不正競争防止法の成立時、この問題について検討する旨も付帯決議に盛り込まれたが、
改正法が施行される来年までに、機密を守る仕組みが運用される可能性は極めて低い。
続く