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裁判員制度の発足について
憲法前文1項に謳われているとおり、日本国民は国政についての最高の意志決
定権を行使出来る主権者であり、憲法制定権の所有者であります。国会・内閣
・裁判所などの権能は、何れも国民の信託に係るものです。つまり、国民は国
家の統治について最高の地位にあり、国家の全ての権能の源泉となる権能を保
持するものであります。日本国の主権者は、総理でもない、閣僚でもない、国
会議員でもない、裁判官でもない、勿論天皇でもない、我々日本国民一人一人
が、主権者であります。
よって、主権者である国民は、あらゆる機会を通じて、内閣であれ、国会であ
れ、裁判所であれ、片時も監視の目を緩めてはいけません。少しでも憲法違反
の疑いがあるような行動を採った場合には、直ちに之を止めさせなくてはなり
ません。これは国民の権利であると同時に義務であります。権利と義務とは、
表裏一体をなすものですから、権利の行使だけでは駄目であり、義務の履行を
怠ってはなりません。我々は人権宣言に含まれる革命権の存在を決して忘却し
てはならないのであります。
ここに、議会中心の民主政治を理想的に運用して行く根本は、国民の政治的自
覚を高め、責任ある選挙によって議会の内容の向上をはかり、正しい世論をも
って議会政治を督励・鞭撻・制御して行くほかにはありません。主権者である
日本国民の政治的自覚の向上・思想の進化が希求される所以であります。
以上の理由により、国民が殺人など重大事件の刑事裁判に参加する裁判員制度
が2009年5月21日に発足したことは、主権者である日本国民が直接司法
に介入する画期的な制度であり喜ばしい限りです。国民の理解と努力によって
、裁判員制度がわが国に定着することが期待されて止みません。
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