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◆国立博物館に62万人
もはや社会現象かもしれない。上野の東京国立博物館で開かれている
「国宝 阿修羅展」である。3月末に始まってから62万人が詰めかけ、
入館を待つ人たちに日傘を貸し出すほど。小顔で整った顔立ち、細身の
プロポーション。いかにも現代的な「イケメン仏像」の最前列には女性が陣取り、
熱い視線を注いでいる。
(小泉信一)
「心の葛藤(かっとう)を表現した人間らしい姿に共感を覚えます」
国立博物館広報室の小林牧室長はそう語る。来館者は1日平均1万3千人。
会場の外では1千人近くが長蛇の列をつくる日も。「日射病にならないように」と
主催者が用意した日傘は600本という。
奈良・興福寺の創建1300年を記念した今回の企画。阿修羅が東京にやって
きたのは1952(昭和27)年の日本橋三越での展示以来だ。興福寺ならガラス
ケース越しに正面から見るだけだが、国立博物館では遮るものはない。
360度どの角度からも見ることができる。
阿修羅は戦いの神様。本来なら恐ろしい形相をしているのだが、この阿修羅は
物憂げな表情を浮かべている。ネックレスやブレスレットのようなもので身を飾り、
なかなかオシャレである。はて、どこかで見たような面立ち。と思ったら、
「亡くなった女優の夏目雅子さんに似ていませんか」と博物館の職員。
時計回りにジリジリ歩を進める。「立ち止まらないで下さーい」「歩きながらご覧下さーい」。
係員が声をからしながら誘導する。感極まったのだろうか。うつむいて涙を流している
女性や身動きせずじっと見つめている人も。