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・十九日午後、成田空港に到着した機内でサーモグラフィーが赤々と反応した。同級生らと米国に
渡航していた女子高生。機内検疫で発熱や悪寒などの症状を訴え、簡易検査を受けたが、
インフルエンザのA型陰性。詳細検査に至らず、バスや電車を乗り継いで帰宅した。結局、
発熱相談センターに連絡して、再度の検査で感染が確認された。
機内検疫は海外で新型インフルエンザウイルスが確認された四月末、成田など三つの空港で始
められた。自衛隊や全国の大学病院などから応援を得て検疫態勢を増強。最も多い日では通常の
二倍に当たる四百人超の検疫官で米国やメキシコなど、まん延国からの航空機の直行便には
機内検疫を実施した。全国の保健所でも大量の人員を投入、帰国者の健康状態を追跡調査していた。
しかし、インフルエンザには七日間程度の潜伏期間があるうえ、感染していても簡易キットでの
検査では一定程度は陰性となることから、一部の専門家は「検疫でチェックするのは不可能。
ある程度の段階で国内の医療態勢整備に軸足を移すべきだ」と指摘していた。
検疫偏重は国際基準にも逆行しており、世界保健機関(WHO)は検疫の効果に否定的見解を
示している。国立感染症研究所の専門家も厚生労働省内の会議で「これ以上検疫に人的資源を
つぎ込むと国内の医療対策がおろそかになる。徐々に減らすべきだ」と助言していた。
十三日に開催された政府の専門家諮問委員会。報告書案には「水際対策については徐々に
通常のレベルに戻す」と盛り込まれていたが、最終案では削られていた。
方針転換できないまま、十六日に国内で人から人の感染が確認され、拡大してもなお、機内
検疫は続いた。大阪、兵庫の感染ルートは不明なままだ。
厚労省の対策メンバーの一人は「われわれも水際対策の効果が少ないのは知っている。やめたいが
官邸の判断になっているので、勝手にやめられない」と打ち明ける。
検疫偏重の方針に早い段階から警鐘を鳴らしていた羽田空港の現役検疫官で医師の木村盛世さんは
「繰り返し防護服を着た検疫官がテレビに映れば対策のアピールになる。政治的判断で
続けたのだろう」と指摘する。(抜粋)
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