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(2)コミンテルン〈我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた〉
秦 国民党内にコミンテルンのスパイがいたから、蒋介石はコミンテルンに動かされていたなどと言
うのは、「風が吹けばおけ屋がもうかる」式の強弁だ。張作霖爆殺事件も、コミンテルンの仕業
だという説が「極めて有力になってきている」などと田母神論文は書くが、歴史学の世界では問
題にされていない説だ。 張作霖爆殺事件が関東軍の仕業であることは、首謀者の河本大作はじ
め関係者が犯行を認めた。このため田中義一内閣が倒れ、「昭和天皇独白録」でも、「事件の主
謀者は河本大作大佐である」と断定されている。他にもコミンテルン謀略説が論文のあちこちに
出てくるが、いずれも根拠となる確かな裏付け資料があいまいで、実証性に乏しい俗論に過ぎない。
保阪 当時の国民党の指導者に取材したことがある。共産党側の人間が国民党に入っていたのは事実
だが、コミンテルンが国民党を動かしていたというのは間違いだ。日本の軍部がソ連や共産主
義への危機感をあおっていた見方だ。「陰謀史観」で歴史を見るようになると、何でもそれに
結びつける。「盧溝橋事件でだれが撃ったか」は本質的な問題ではない。中国で日本軍が軍事
演習を行っていた背景を見なければならない