09/05/16 22:57:08 gP2GcbU50
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 「かんぽの宿」に見る錯誤
最近は報道も少なくなったが、「かんぽの宿」疑惑が解決したわけではない。それどころか、次から次と新しい事実が発覚して、
日本郵政による「かんぽの宿」と社宅の売却が、経営改善も行わないまま安くたたき売るものだったことが明らかになりつつある。
ここで述べたいのは、そうした疑惑についての新発見や新分析ではない。いま「かんぽの宿」について考えることは、
日本経済が陥っている「錯誤」から脱却することにつながるということである。
まず、日本郵政の資産ソリューション担当によれば、最初のころの説明で「入札」と呼んでいたのは、単に世論に配慮したためで、
本当はあの売却はM&A(企業合併と買収)だったのだという。つまり、公的資産を売る公正な手続きではなく事業譲渡だったというわけだ。
ビジネスのためなら「偽装」もかまわないという、いまはやりの発想そのものなのである。
しかも、「偽装」をしても、極端に安く買いたたかれかけたのだから、日本郵政はM&Aの駆け引きに失敗したことになるだろう。
売却の対象となった物件の固定資産税評価額は約857億円であり、固定資産税評価額が公示価格の約7割であるのが普通だから、
公示価格では約1224億円。公示価額の約8割である路線価でも約979億円に相当することになる。
また、こういうと、必ず不動産売買ではキャッシュ・フローに基づく「収益還元法」が用いられるので、極端に安くなっても少しも
不思議はないという論者が現れる。しかし、路線価で約979億円のものが、一括売却すると109億円になってしまうなら、
ていねいにばら売りをして、少しでも売却価格を上げようとするほうが、むしろ有効な投資回収策だろう。ここには、新しい「理論」を
振り回せば、いつも、もっともらしい答えが得られるという「錯覚」が見られる。