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今度は日本列島の人類集団を中心に考えてみよ
う。図4は,アイヌ人,沖縄人,日本本土人,韓
国人の4集団について,遺伝的近縁図を作成した
ものである(Omoto and Saitou, 1997)。ここで
は血液型8種類,赤血球酵素7種類,血清タンパ
ク質6種類,その他の遺伝子4種類の合計25遺
伝子の遺伝子頻度データを用いて遺伝距離を計算
している。
その結果,アイヌ人が他の集団から離れてはい
るものの,琉球人と結びついて,ひとつのグルー
プを形成している。この結びつきの強さを統計的
にあらわす「ブーツストラップ確率」は85%で
あった。このことは,アイヌ人が独特な遺伝的特
徴を濃く残しているのに対して,遠い過去には共
通性の高かった沖縄人が,弥生時代以降の九州か
らの移住によって,本土日本人と遺伝的にずっと
近くなった,ということを示唆している。さらに
本土日本人の位置そのものが,韓国人を代表とす
るアジアの人類集団からの影響を強く受けている
ことを示している。
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