09/05/05 22:43:19 s/eakyR20
>>200続き
・診察室で痰を採取するなら、部屋の外に出て患者さんだけにしてあげるのもいいかもしれません。
日常診療でも、とくに女性の患者は人前で痰なんて出せないものです。呼吸器検体を扱うとき、
気管内挿管時などはゴーグル、マスク(できればN95)、ガウン、手袋が必要です。
採血時やラインを取るときも手袋をしたほうがよいでしょう。こういうことは豚インフルに関わらず、
ほとんどすべての患者さんに通用する策に過ぎません。繰り返しますが、日常診療をまっとうにやることが最強の豚インフル対策です。
・あなたが不安に思っているときは、それ以上に周りはもっと不安かも知れません。自分の不安は5秒間だけ棚上げにして、
まずは周りの不安に対応してあげてください。豚インフルのリスクは、少なくとも僕たちが今知っている限り、
かつて遭遇した感染症のリスクをむちゃくちゃに逸脱しているわけではありません。北京にいたときは、
在住日本人がSARSのリスクにおののいてパニックに陥りましたが、実際にはそれよりもはるかに死亡者の多かった
交通事故には全く無頓着でした。ぼくたちはリスクをまっとうに見つめる訓練を受けておらず、
しばしばリスクを歪めて捕らえてしまいます。普段の診療をちゃんとやっているのなら、
豚インフルのリスクに不安を感じるのはいいとしても、パニックになる必要はありません。
・今分かっていることでベストを尽くしてください。分からないことはたくさんあります。なぜメキシコ?
なぜメキシコでは死亡率が高いの?これからパンデミックになるの?分かりません。
今、世界のどの専門家に訊いても分かりません。時間と気分に余裕のあるときにはこのような疑問に思考をめぐらせるのも
楽しい知的遊戯ですが、現場でどがちゃかしているときは、時間の無駄以外の何者でもありません。
知者と愚者を分けるのは、知識の多寡ではなく、自分が知らないこと、現時点ではわかり得ないこととそうでないものを
峻別できるか否かにかかっています。そして、分からないことには素直に「分かりません」というのが誠実でまっとうな回答なのです。