09/05/05 22:41:08 s/eakyR20
神戸大の岩田健太郎先生がメッセージを発しておられます。さすが若い研修医のあこがれの的だけあって、
色々考えさせられる内容になっています。転載自由のことですので、ここにも貼っておきます。
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◆ 豚インフルについて、研修医の皆さんへ
・まず、毎日の診療を大切にしてください。呼吸器症状の有無を確認し、
ないときに安易に「上気道炎」と診断せず、旅行歴、シックコンタクト、動物暴露歴など問診を充分に聴取してください。
・患者さんが言わない、ということはその事実がない、という意味ではありません。せきをしていますか?と聞かなければ、
せきをしているとは言わないかも知れません。原因不明の発熱であれば、
必ず血液培養を検討してください。バイタルサインを大切にしてください。バイタルサインの重要度は重要な順番に、
血圧、脈拍、呼吸数、(第五のバイタル)酸素飽和度、そして、体温です。極端な低体温などはまずいですが、
発熱患者で大切なのは体温「以外」のバイタルサインと意識状態であることは認識してください。発症のオンセット、
潜伏期など、時間の感覚には鋭敏になってください。要するに、ブタインフルエンザ診療のポイントは普段の診療の
延長線上にしかありません。ほとんど特別なものはないことを理解してください。上記の診療は診療所、大学病院、
どこのセッティングでも可能です。大抵の感染症診療は、大抵のセッティングで可能なのです。
・自分の身を護ってください。とくに初診患者では外科用マスクの 着用をお奨めします。患者の診察前とあとで、
ちゃんと手を洗っていますか。
・呼吸器検体を採取するなら採痰ブースが理想的ですが、理想的な環境がないからといって嘆く必要は少しもありません。
「うちには○○がない」と何百万遍となえても嘆いても、物事は一つも前に進みません。
「うちには○○がないので、代わりに何が出来るだろう」と考えてください。考えても思いつかなかったら、
そこで思考停止に陥るのではなく、分かっていそうな上の先生に相談してください。いつだって相談することは大切なのです。