09/05/02 01:19:00 IxaXAZdF0
九条の会の皆さんよ、聞いてくれるか?
かなり昔のことだが、俺が拳王軍の兵士としてある村を攻撃したときのことだ。
不思議なことに、その村の連中は少しも俺たちに抵抗しなかったんだ。
そのかわりに一人のごっつい野郎が出てきて、俺たちを睨みつけるんだ。
残虐なことで恐れられていた俺たちも、さすがに怖気づいてしまったもんさ。
震えを抑える方法が分からず呆然としていたところに、拳王様が到着したんだ。
何でもその男の言うには、「俺がやる気になればラオウだって倒せる」のだそうだ。
なるほど、たしかに俺たちはそいつの度胸と気迫に押されちまっっていた。
いよいよ拳王様自ら戦うのかと思ったそのときだった。
そいつが言ったんだよ、「だが、ラオウを倒すことはできても、私も倒れましょう。そうしたら、侵攻隊は暴徒と化してしまう」と。
自分一人で何があっても村を守ると決めていたんだろう。
男はそのかわりに自分で脚を切り落としたね。
拳王様に匹敵するだけの力を持っていながら、村のために自らの脚を差し出す。
こいつは、決して戦いから逃げ出したヘタレなんかじゃねえ。
村人を守るためなら自分の脚なんかどうでもいい、勇者だ。
ちょっと泣けてきたもんだぜ。
拳王様もその男の本当の強さに惚れちまって、脚を大切そうに受け取ると「元斗皇拳のファルコ、その脚、一国に匹敵するわ!」なんて言うんだ。
あの感服しきった拳王様の表情が、今も忘れられないぜ。
九条の会の皆さんよ、あんたら見てると俺はどうしてもあの男を思い出してしまう。
きれいごと言うのは勝手だが、そのきれいごとが通じないような圧倒的な現実に直面したとき、あの男の100分の1でも骨のあるところを見せてくれるんだろうな?