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2009年4月29日 21時20分 更新:4月29日 21時42分
【ジュネーブ澤田克己】感染が広がる新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の世界的大流行
(パンデミック)への警戒レベル引き上げを討議した世界保健機関(WHO)緊急委員会委員の田
代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は28日、記者会見し、今回の
ウイルスは「弱毒性」との見解を示した。強毒性のH5N1型鳥インフルエンザが新型に変異した
場合に比べ「それほど大きな被害は出ない」とみられ、「全く同じ対策を機械的に取るのは妥当で
ない」と述べた。
田代氏は毒性について「今後、遺伝子の突然変異で病原性を獲得しないという保証はない」とし
たうえで、遺伝子解析の「予備的データ」の結果として、現段階で「強い病原性を示唆するような
遺伝子はない」と「弱毒性」との認識を示した。
被害については、現在の毒性が変わらなければ、パンデミックを起こしても、約200万人が死
亡した57年の「アジア風邪くらいかもしれない」とした。数千万人規模の死者が想定される強毒
性H5N1型と「全く横並びに判断していいものではない」と話した。
致死率などについては、疫学的調査が終わっていないため「実際の数字は分からない」と説明。
そのうえで、メキシコで感染が疑われる患者が1000人を超える一方、同国以外は数十人規模で
あることから「割合からすれば(他の国で多くの)重症者が出なくても当たり前かもしれない」と
述べた。
対策についてはH5N1型に比べ「健康被害や社会的影響は大きく異なる。全く同じ対策を機械
的に取ることは必ずしも妥当ではない。フレキシブル(柔軟)に考えていく必要がある」と述べた。
日本の対策については「少しナーバスになり過ぎているところがあるかもしれないが、後手後手
になって大きな被害が出るよりは、やり過ぎの方がいいかもしれない」とした。
(略)
「H5N1型による大流行のリスクが減ったわけではない」と、警戒を怠ることは危険だと警告し
た。
毎日新聞:URLリンク(mainichi.jp)