09/04/21 23:59:24 vp9LkLV40
>>644のつづき
「電車男」は、掲示板で「電車男」という名前のオタク男が書き込んだリアルタイムの実話という設定になっている。
秋葉原に通う若いオタク青年が、エルメスというニックネームの(恋愛資本主義フォーマットを完備した)女性と
偶然知り合い、彼女と恋愛しようとする。だが、彼は恋愛のルールや常識をまったく知らない。たとえばどこで
食事をしてよいかわからないので、ネットの掲示板に、「めしどこかたのむ」という教えを乞う書き込みを行って
情報を得ていく、という筋立てとなる。こうして掲示板に集まっている毒男(独身男)たちにあれこれアドバイスを
貰ったりエールを送られたりして、最後にエルメスに告白して恋を実らせる・・・という感動的なストーリーだ。
しかしながら、作中では恋愛資本主義のルールと萌えオタクのルールが衝突することはない。終始一貫して
「恋愛資本主義のルールがより高等なルールであり、萌えオタクはひとつランクの低い存在である」という
不文律が貫かれている。何のスキルも持たない主人公が、周囲に応援されながら徐々に恋愛のスキルを
マスターしていき、最後には恋愛師匠と呼ぶべきエルメスに「よく頑張ったね」と祝福され、涙ながらに
恋愛資本主義の世界への参入を喜ぶという物語なのだ。「電車男」という物語の構造は、いってみれば、
一種の自己啓発セミナーに似ている。萌えオタクという間違った思想を否定し、恋愛資本主義という
素晴らしい思想を電車男に植え付けていくという物語構造になっているのだ。
抜粋おわり