09/04/10 11:57:43 0
(>>1のつづき)
検察官「以前、物損事故を起こしてますね。どんな事故でしたか?」
被告「信号のないT字路で、一時停止を無視した自転車と接触しました」
検察官「事故後、注意して運転しようと思いませんでしたか?」 被告「思いました」
検察官「具体的には、どう注意したのですか?」
被告「速度を落としたりとか、歩行者に対する確認をしたりとか」
検察官「それなのに、今回、確認を怠ってしまった理由は何ですか?」 被告「自分の不注意で」
検察官「事故直後、119番しようとは思いませんでしたか? 別の人がしてくれたようですが」
被告「当時は、気が動転していて、手が震えて携帯のボタンが押せませんでした…」
検察官「最後に、ご遺族にどんなことを言いたいですか?」
被告「取り返しのつかないことをして、本当に申し訳ないと…」
被告人質問のあとに設けられた意見陳述の機会。証言台に呼ばれた被害者の夫の手には、
何度も書き直したように見える紙がしっかりと握られていた。夫は一度深くため息をつくと、ゆっくりと
読み始めた。
「今日、被告の顔を初めて見ました。話を聞いて、事件のことが少しずつ分かってきました」
こらえていた涙が、証言台の上にポタポタと落ちた。
「『植物状態になってもいいから助けてくれ』と一生懸命医者に頼みました。みっともないけど、大声で
泣きました。でも、だめでした…。妻を元気なまま返してもらいたい」
妻の死後、夫は毎晩玄関のカギを開けたまま眠りにつくという。妻が帰ってきそうな気がするからだそうだ。
愛する人を突然亡くした悲しみを抱えて生きていくことには、想像を超えた苦しみを伴うだろう。
検察側は、「命を奪われた被害者の無念は察するにあまりある」として、禁固3年を求刑した。
閉廷後、被告は遺族の前に歩み寄り、土下座して謝罪した。床に額をこすりつけるようにして謝る
その姿を、遺族はただ呆然と見ていた。
遺族が望むものは、そのような“パフォーマンス”ではないだろう。示談も進んでいないという。
一家の幸せを一瞬にして奪った被告には、誠意ある対応を望みたい。
判決は今月24日に言い渡される。(以上、一部略)