09/04/08 19:14:49 laiWKVgG0
司馬遼太郎 「街道をゆく」 奈良散歩より
「阿修羅は元は古代ペルシャの神だったと言われるが
インドに入り時が経つにつれて次第に悪神(非天)になった。
しかしながら興福寺の阿修羅にはむしろ愛が讃えられている。
少女とも少年ともみえる清らかな顔に無垢の困惑ともいえる
神秘的な表情がうかべられている。顔も体も贅肉が無く
性が未分であるための「心もとなさ」が腰から下のはかなさに漂っている。
眉のひそめ方は自我に苦しみつつも聖なるものを感じてしまった
心の戸惑いを表している。すでに彼(あるいは彼女は)合掌しているのである。
といって目は求心的ではなくヒドく困ってしまっている。
これを造仏した天平の仏師にはモデルがいたに違いない。
貴人の娘だったか、未通の采女(うねめ)だったか、、
阿修羅は私にとって代表的奈良人なのである。」
この阿修羅の印象文、好きだわ