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25時:カナリア /宮崎
新人のころ、先輩記者に「『社会のカナリア』になれ」と言われた。
何のことか分からず、意味を問うと--。
きれいな空気が好きなカナリアは絶えずさえずっているが、空気の汚れを感じると
すぐに鳴きやみ、窒息死することもある。昔、炭坑内に鳥かごが持ち込まれ、
一酸化炭素などの有害ガスの検知器代わりに使われた。身を犠牲にして鉱員たちの命を守った。
報道がにぎやかなのは、社会が自由な証拠。言論弾圧の不穏な空気が覆うと、
報道がまず沈黙し、社会全体が口を閉ざすようになる。カナリア記者は沈黙ではなく、
一歩進んで、筆を折らず、さえずり続けることで「社会の平和を守るべきだ」と教わった。
04年春に宮崎支局に着任して5年。反省することは多い。官製談合事件を巡る
前知事の逮捕、県庁裏金問題、廃棄物処理施設・エコクリーンプラザ問題……と
不祥事が相次いだが、その予兆を察知し、県民や行政に問題提起できただろうか。
表面的な出来事を追うばかりで、真相を探る視点が足りなかったのではないか。
「社会のカナリア」に近づくために、激動だった宮崎の5年を教訓としたい。
4月1日付で山口支局(山口市)に転勤します。お世話になりました。【中尾祐児】
p://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20090330ddlk45070342000c.html