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東京・秋葉原で昨年六月に起きた無差別殺傷事件の犠牲者の一人、東京芸術大四年の武藤舞さん=当時(21)=
に「卒業証書」が贈られた。二十五日に行われた東京芸大の卒業式。音楽、芸術への夢を追いかけ、志半ばで悲
運に見舞われた武藤さんも、同級生とともにキャンパスを旅立った。
卒業証書は学位の授与ではないが、大学側が武藤さんの実績と努力を「東京芸大生の模範」と評価し、追悼の意を
込めて贈られた。卒業式に先立ち、宮田亮平学長から遺族に手渡された。
武藤さんは昨年六月八日、日曜でにぎわう歩行者天国の交差点近くで、アルバイト中だった。そこに突然、トラックで
突っ込んできた元派遣社員加藤智大(ともひろ)被告(26)に刺された。武藤さんは携帯電話で事件発生を通報した
後、被害に遭ったとみられている。
武藤さんの死は学内にも大きな衝撃を与えた。友人から「マイキー」の愛称で親しまれていた武藤さんは、音楽学部
音楽環境創造科に在籍し、録音音響について学んでいた。小学生時代から作曲に挑戦。楽器の演奏もこなしながら、
将来はコンサートの企画などの仕事を希望。「小さなホールでもいい録音がしたい」と語っていたという。
学内のコンサート運営にも積極的に取り組んだ。パソコンを持参して駆け回り、明るく、テキパキと役割をこなす姿が
印象的だった。同級生らは昨秋、武藤さんを弔うため、追想演奏会も企画していた。武藤さんと同じ音楽学部の友人
の女子学生(22)は「事件から半年以上たっても言葉が見つからない。きょうこの場に一緒にいたかったと、本人が
誰よりも思っていると思う」と語った。
大学側は「武藤舞さんの芸術に対する気高い情熱とひたむきな努力は、東京芸大生の模範だった。優秀な学生を
失った大学と在学生との追悼の気持ちを込め、卒業証書を遺影の前に捧(ささ)げる」とコメントした。
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