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★「ガダルカナル」化する特捜捜査 「大本営発表」に惑わされてはならない(郷原 信郎)
民主党小沢代表の公設第一秘書の大久保氏が東京地検特捜部に、政治資金規正法違反
(政治資金収支報告書の虚偽記載罪)の容疑で逮捕されてからおよそ2週間。
衆議院議員総選挙を控え、極めて重大な政治的影響が生じるこの時期に、比較的軽微な
政治資金規正法違反の事件で強制捜査に着手した検察側の意図、捜査の実情、
今後予想される展開が、おぼろげながら見えてきた。
●捜査は当初から想定された展開ではない
この時期に検察があえて強制捜査に着手したことについて、「国策捜査」などの見方もあったが、
どうやら、今回の検察の強制捜査着手は、これ程までに大きな政治的影響が生じることを認識したうえで
行われたのではなく、むしろ、検察側の政治的影響の「過小評価」が現在の混乱を招いているように思える。
その推測の根拠は、今回の強制捜査着手後に、東京地検の特捜部以外の他の部のみならず、
全国の地検から検事の応援派遣を受けて行われている事実だ(3月8日付毎日)。
検事の異動の大半は、定期異動で行われる。全検事のうちの3分の1近くが一斉に異動する年度末を控えた
この時期、事件の引き継ぎの準備を行いながら、捜査・公判の日常業務を処理しなければならない
全国の地検はただでさえ多忙だ。そのような時期の応援検事派遣には検察部内でも相当な抵抗があるはずである。
ましてや、今年5月には裁判員制度の施行を控えており、検察は、この制度を円滑に立ち上げることに
組織を挙げて取り組んできたはずだ。この時期、定期異動に伴う繁忙を克服して、裁判員制度開始に向けての
総仕上げを行うことが、裁判員制度導入の中心となってきた樋渡利秋検事総長の下の検察にとって、
何はさておいても優先させなければならない事柄だったはずだ。
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