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・日本テレビの久保伸社長が辞任し、取締役相談役に退くと発表した。報道局長らも役職罷免などの
処分を受けた。昨年「真相報道バンキシャ!」でうその証言を報じ、信用を損ねたという理由だ。
裏付け取材を怠ったまま、虚偽の情報を公共の電波で流した責任は重い。
番組では、男が匿名で登場し、「岐阜県が裏金づくりを続けている」などと語っていた。
事実なら重大だ。岐阜県では06年に総額17億円に上る裏金の存在が発覚していたからだ。ところが証言は
虚偽だった。男は今年1月、別の詐欺事件で逮捕され、岐阜県からの要請で日テレが再取材した結果、
男は「裏金を送金した事実はない」と証言を翻したという。
岐阜県は番組放送直後から大がかりな調査をしていたが、虚偽証言によって県の業務に支障が出たとして
告訴し、岐阜県警が今月、男を逮捕した。報道での証言が刑事事件に問われる極めて異例の展開だ。
男は他局に匿名出演したこともある。「謝礼ほしさだった」と容疑を認めているという。テレビをはじめ
各メディアにはさまざまな情報提供や内部告発が寄せられるが、それを基に取材し、報道する責任は
メディア側が負う。報道には十分な裏付け取材が欠かせないのは当然のことだ。日テレはその点が
不十分だったことを深刻に受け止め、猛省しなければならない。
日テレは謝礼の支払いを否定している。いずれにせよ、日テレは詳細な検証を行い、公表しなければ
視聴者の理解は得られまい。
テレビの報道・情報番組で不祥事が相次いでいる。07年に関西テレビの「発掘!あるある大事典2」で
捏造問題が発覚し、それを契機にBPOの放送倫理検証委員会が設立されたが、放送された内容に
不十分な取材や不適切な演出があるとして同委員会の審議対象になる案件が急増している。こうした
事態をテレビ界全体が重く受け止める必要がある。
事実関係の確認が不十分なまま報道がなされれば、メディア全体に対する国民の信頼を低下させる
結果を招きかねない。そのことを改めて自覚したい。(抜粋)
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