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財政危機:日本の「ギリシャ化」現実味は 市場の評価が左右
<分析>
◇膨らむ債務、問われる再建策
菅直人首相が消費税増税など財政再建を訴える際に引き合いに出すのが「ギリシャの財政危機」。
2日の金沢市での参院選遊説でも「ギリシャのようになって一番困るのは、年金が減らされ、仕事が
無くなる一般国民だ」と力説した。ギリシャの経済規模は日本の16分の1程度、産業も観光や海運
くらいで、世界2位の経済大国、日本と同列視するのは大げさにも見える。ただ、債務残高で見れば、
日本はギリシャ以上の借金漬けで、財政運営の困難さは増している。日本の「ギリシャ化」リスクは--。
ギリシャは公的部門の肥大化や近年の公共事業拡大を背景に財政が悪化していたが、08年秋の
リーマン・ショック前までは海外からの投資資金の流入で国の資金繰りに支障は無かった。しかし、
リーマン後の世界的な信用収縮で資金流入が減少。前政権が財政赤字の状況を“粉飾”していたことも
判明し、深刻な信用不安に見舞われた。
国債発行が困難になり、デフォルト(債務不履行)危機に直面したギリシャに対し、ユーロ圏諸国
や国際通貨基金(IMF)は今年5月、大規模な金融支援を決定。見返りに、ギリシャは大幅な増税
や年金削減、公務員の給与引き下げなど厳しい財政再建策を迫られた。国民は反発し、ゼネストも
起きた。菅首相はそんなギリシャの惨状を例に「日本も財政悪化を続ければ、社会保障の根幹が崩れ、
国民生活が破壊される」と訴える。(中略)
これに対し、ギリシャはGDP比で11・2%の大幅な経常赤字国。国内は慢性的な資金不足で、
国債の引受先も大半を海外投資家に頼らざるを得ない。今回の危機では国債格下げをきっかけに、海外
投資家が資金を引き揚げ、財政破綻(はたん)の寸前になった。
ただ、日本の国と地方の債務残高は10年度末に862兆円に上る見込みで、数年後に1000兆円
を超える。高齢化で家計の貯蓄率も徐々に低下している。財政再建に取り組まなければ「市場が日本
国債離れを起こす恐れ」(アナリスト)は否定できず、ギリシャ危機は人ごとでは無い。
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