10/06/05 21:08:54.85 OpEiBRCf
俺、学生時代にコンビニでバイトしてたんだ。
そのコンビニには「唐揚げババア」ってあだ名される常連バアさんがいた。
毎日同じ時間、夜9時にレジ前のホットウォーマーにある唐揚げ、つまりからあげクンみたいなのを
必ず3つ買って行くという奇怪な特徴からそのあだ名がついた。
唐揚げババアの身なりは貧相だった。
薄くなった頭髪に丸まった背中、いつも同じ地味なチョッキにくすんだ毛玉だらけのズボン、
おまけに風呂に入らないのか、すえたニオイがするから、バイト仲間内では忌み嫌われていた。
声も力無くボソボソと、いつも下を向いたまま、正直薄気味が悪いババアだった。
ある日、夕方5時~夜10時までの夕勤の俺に店長が頼みごとをしてきた。
夜勤のバイトが休むから、代わりにこのまま出てもらえないか、とのこと。
特に予定も無かったので、ダルかったけど出ることにした。
夜9時、唐揚げババアが来店。
いつものように唐揚げを3つ購入。いつものように臭い。いつものように地味で不気味で陰気。
レジ打ちをする俺とは決して目を合わさず、うつむいたままずるずると店を出て行った。
あの年であれが夕飯代わりなのか?と考えると、なんだか同情めいたやるせなさがこみ上げてくる。
夜10時、夕勤仲間が退勤し、夜勤の先輩バイトが引き継いで入った。
勝手の分からない初めての夜勤だったので、その先輩の指示通りまず俺はゴミ捨てをすることになった。
俺は店の入口に設置してあるゴミ箱から可燃物用のゴミ袋を引き抜いた。
その袋に空き缶やその他の不燃物が入っていないか、さっと目を通す。
ふと、見慣れた包み紙が目に入った。
唐揚げの包装紙。包まれたまま開けられた形跡のない唐揚げ。それが3つ。
まさかと思いながら先輩に話を聞くと、いつもいつも、唐揚げが3つ捨てられているらしい。
先輩は、廃棄品を何か理由があって外のゴミ箱に捨てているのだと思っていた。
不気味すぎて先輩には言えなかったが、
どう考えてもあれを捨てているのは唐揚げババアだった。