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アニメーションに限らず映像作品というものは基本的に、作品内での世界があり、それを写し取ることでドラマが形成され、物語
が展開していくものである。けいおん！！もその例外ではない。だが奇妙なことに、作品内におけるメインキャラクターたちの扱い
が、視聴者たる我々の視線からの扱いの範囲をまったく出ていないのである。作品内においては「人間」であり、三次元世界におけ
る「我々」と同質の情報量を持った存在であるはずなのに、作品内ですら彼女達は「人間」として扱われていない。これは#6におけ
るクラスメートたちからの唯の扱いからも分かるし、今回のお茶会のために用意されたグッズが、澪というキャラクターをシールと
いう形で象徴しただけのグッズであることも、またファンクラブという割に奇妙に冷静で客観的な会員の描写も、非常に示唆的であ
る。
つまり、作品内においてすら、彼女達は一貫して「キャラクター」であり続けているのである。
ここにけいおん！！に内在するキャラクター消費構造が端的に露見していることは言うまでもない。すなわち、この作品は、「人
間」としての澪や唯たちを記号的に表象させて映像にまとめたものではなく、単純に「キャラクター」としての彼女達を「キャラク
ター」として消費するための構造を内した「キャラクターアニメ」であるということが、論理的帰結として示されてしまったという
ことである。ストーリーはすべてキャラクターを回転させる為の物語であり、ドラマなのだ。
よく言われる「けいおん！！には中身がない」論争は、本話をもって一応の決着がつくであろう。けいおん！！はキャラクターア
ニメなのであり、それこそが中身なのだから、話の筋や物語の質を問うことは、そもそもが見当違いなのである。
我々は作品の内外において一貫してキャラクターであり続ける彼女達を、ありのままに享受すればいいのだ。（了）