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宮殿では朝食の時間を迎えており、メイド達が次々と豪華な料理を運び出していた。
それは朝食とは思えないほどの豪華さで、一般市民がこの料理を見たらこれが本当に
朝食か?と目を仰天させるに違いない。これだけで一般市民との差は歴然と離れており、
王様が毎日どのようにして暮らしているかはこの朝食だけでも想像がついてしまう。
なおも料理は運び込まれていく。
王様の目の前に全ての料理が出そろった。豪華で目を見張るほどの大きなテーブル。
目の前には全てが金で作られているナイフやフォーク。
そして、背もたれが必要以上に天井へと伸びている豪華なイス。
全てが”豪華”これ以上の単語が見当たらない程、豪華であった。
「今度は違うウエイトレスだった。別にどうでもよいが…」
「これなら百メートル、九秒、いや、八秒で駆け抜けてやるぜ。これは言い過ぎたか…」
「料理を作っているのか?それしか思い浮かばないが…」
「こんな夜中にあんな猛スピードで駆け抜ける人間はそうはいないだろう。
いるかも知れないが…」
「一般市民も自分の命がやっぱり大事なんだなと翼は思う。当然だけど…」
「まるで、強盗犯に包丁を突き付けられたあの感じ。あの感じって、そんな経験
した事ないだろ!」
翼はたまらず少女に聞いた。
「お父さんや、お母さんは?」
翼は反応を待った。しかし少女は質問に対して少しも表情を変える事なく、
ただ首を小さく振るだけであった。翼と洋は顔を見合わせ、今度は洋が聞いた。
「まさか、二人とも…」
そこから先を言おうとする洋を翼は素早く制した。そして、小さく首を
振った。翼は少女の目の高さまでかがみ込み、
「お父さんとお母さんはどうしたの?」