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図書館は、休日になると一般の人たちに開放されるため、来館者の数は多い。
31:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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明日の朝には、この悪夢も終わっているんだろうか。
32:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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あと数日で彼女に会えるはず、それまでの我慢だ。
33:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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もう、花梨の手をわずらわせることはなかった。
34:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「守って…?」
35:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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小さな体の中で、いつも頭をフル回転させ、大切な妹を守ろうとしている。
36:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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なんだろう、あれ。
37:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ねーねーっ、そんなんどうでもいいからスイカ割りー」
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「そうそう、自己紹介の間くらい静かにしてもらわないと」
39:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「少しは、元気になってくれたかな」
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「庄一には、花梨ちゃんに、ちゃんと教えるように言っておく」
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「ホント! じゃあ~」
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縁側に下げられた風鈴の音に、寒気を感じた僕は、少し体をのけぞらせた。
43:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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和泉ちゃんは、おろおろと、落ちつきなく首を動かした。
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いくら軽いって言っても、女の子を抱きかかえたまま、坂を上るのは辛い。
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「暑いですね」
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「また、うなされていましたね」
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「うん。でも、その前に言わなきゃ」
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「今日は、おしまい」
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「冷たいって」
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「あ、ごめんなさい、ちょっとぼーっとしちゃって」
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一歩間違えば、失禁くらいしていたかもしれない。
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「ぁ…ああ、ホントに?」
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じゃあ…
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「その、もうひとつの波紋は?」
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だけど、素敵な時っていうのは、長く続かないものらしい。
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「だからその、ごめん」
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和泉ちゃんがいなくなって、自分の無力さが悔しくて、やるせなくて…
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和泉ちゃんがさし出した、色とりどりの短冊を前にして、マリアちゃんは目を輝かせた。
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「…どうして、そんなことを言ったのか、覚えていないんだ」
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どんなに時が流れても、遠く離れてしまうことがあっても、
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「本気だよ」
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と、彼女は背中にはりつこうとして、思いとどまった。
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ものすごく不満そうな顔で言われた。
64: コバンザメ(京都府)
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きたこれ
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「それより、気になるのはこっちだよ」
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「私が走ってきちゃいましたから。でも、そろそろ来ると思いますよ。ほら…」
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男にウインクなんかさせるもんじゃないな―すっかり毒気を抜かれてしまう。
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願いを叶える、涙石―
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「人が悪いなぁ、和泉ちゃんも」
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「わかってる。それにしても、この辺はあまり人通りがないみたいだけど」
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「お二人は、いつも仲がよろしいんですのね。うらやましいですわ」
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「いいから! なんのために来たのよ」
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雪さんがぼやく。
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目の前にあるものを現実として受け入れるしかないだろう。
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「そんな顔をされないで下さい。透矢さんのお父様は素敵な方なんですよ」
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「漠然とだけどね。私は、あの子の気持ち知ってたし、それでわかっちゃったというか…」
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「嘘。そういう意味じゃないってわかってる」
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「牧野さんまで、体調を崩したんだ…」
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僕はしばらく彼女を抱きしめたまま、軽く叩くように背中を撫で、ただ、時がすぎるのを待った。
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「うん。花梨も?」
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はっはっ、と和泉ちゃんが息を荒げる。
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「……夕陽をバックにキスとか」
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「和泉ちゃんがいなくなったら、僕たちが困るよ」
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いちいち気にしてたらキリがない。
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「…い」
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「大丈夫です。おうちに戻ってから休みますよ。ご心配なさらずに」
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「いや、入院してて話が聞ける状態じゃないから」
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「ふーん…けっこう、人が集まるんだね」
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「とにかくそういうことだよ。それでは」
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「みんな反対なのに、開発は続いているんだね…」
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考えちゃいけないはずの言葉が、僕の頭の中を支配していた。
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「そういえば…」
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見た目にはおとなしい波も、泳ぐとなると、ずいぶん大きな障害になる。
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様子が、おかしいような気がした。
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大きなしぶきをあげて、海に飛び込む和泉ちゃん。
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「んっ…んぅ…」
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「和泉ちゃん、俺がきれいだって言ってもそんな反応してくれたことないのに…」
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「あの二人だからね。まさにケンカするほど仲がいいってやつかな…」
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「いけません…うつってしまいます」
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「僕が出るからいいよ」
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「おおざっぱにだけど…」
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知らないんだから!―と、そっぽを向かれてしまった。
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なかなかシャレにならない痛さだ…。
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「また夜更かししてるね」
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「これか?」
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(だけど、なぁ…)
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「布団の上では素直なんだから」
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押し付けるようにして、指を上下させると、細いすじの存在を確認することができた。
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やっぱり、女の子ってよくわからない。
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男女合わせて三十人くらいはいる。
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くいくい。
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「和泉ちゃん…っ」
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女の子のスカートに手をかけるのって、それだけで緊張する。
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案内は、後で雪さんにしてもらおう。
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「だっ、て…ゆび…っひ…指でなんて…」
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「それでしたら、一緒に寝てください」
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彼女の期待を裏切るそのひとことが、どうしても言えなかった。
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「いや、僕こそ興味本位なんかで…ごめんね」
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「駄目だよ、なんか嫌な予感がするんだ」
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「ぁ…はい。はい…」
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「ああ、もうそんなになるか…」
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「道場主?」
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「はやや?」
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いっぺんに力が抜けていく。
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そういえば、小さな頃は、体が弱かったと言っていたっけ。
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まず僕の目の前におしりだ。
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「アリス、ふたりが起きちゃうよ?」
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「はぁ。先住民だと何か都合が悪いの?」
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“ゴツッ、ゴツッ、ゴツッ”
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「どうして言えないんですか?」
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「っ…ごめん…朝から、みっともないところばっかりで…」
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「そうですね。お父様が、あまり好きではないんですよ。雪も苦手ですし」
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言いながら、僕のものを受け入れようともぞもぞ動くアリス。
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「うん…これで、安心できるんなら、いいよ」
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僕はもういちど、彼女のお尻の穴を押し開き、もう一本を追加した。
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「ねっ、とにかくそういうわけだから。花梨ママの胸をどうにかしたいなら、それでもいいし」
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「意地っぱりですね。もしここを曲がった先にあの子がいたりしたら、きっと後悔しますよ」
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この子は、それでいい。
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「アリスがこういう事に首を突っ込みたがるのって、めずらしいような気がするんだけど」
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日が差さないことに加えて、何かに見られているような感覚がつきまとう。
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「本を読んでいましたから」
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「北極星なんでしょう?」
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でも、泣き出しそうな顔の彼女を見ていると、あまり無下にもできない。
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だいたい、ここで自分から謝らなければきっと、その機会すら与えてもらえなくなる。
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満天の星空って、こういう空のことを言うんだろう。
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「報告してもらおうと思って。透矢の手放した、ゆきに…幸せでやってるから安心してね、って」
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どことなく感情のこもっていない声だった。
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気がつけば僕の日常には―
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部外者が口出しできるような事じゃないんだろうな、きっと。
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とにかく、日よけも兼ねて民家を見て回る事にした。
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「私、途中からキミのこと見てたけど、誰もいなかったよ」
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「わかった。もうしないから、そんな顔しないで?」
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「勇気を出して良かった。最後に大切なことを思い出してもらえたから」
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「瀬能、透矢」
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「もし、ひっぱたいて気が済むなら、ひっぱたいてくれていいよ…」
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「おねえちゃん、そういうことは…」
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そして、予想通り牧野さんも同じ夢を見ていた。
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そして、どうかしている僕は、そこに口をつけた。
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「そうですか。残念だなぁ」
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「ありえないよ、やっぱり」
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「それを可能にするのが、この指輪なの。これは、確かに現実よ」
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「ふふ…初めて試しましたけど、よく効くおまじないですね」
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雪…あの日、手放した風船。
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「今は…でも、いつか…」
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「現金や通帳のたぐいは、雪が持ち歩くようにしていたんです」
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空腹を感じ、花梨が消えた坂を見上げたままの自分に気づいた僕は、早く家路につこうと振り返った。
167:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「野郎の面倒見るのはごめんでーす」
168:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「本当ですか? それでしたら、すぐに他の記憶も戻るかもしれませんね」
169:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ば、馬鹿…」
170:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「だって、せっかく二人で外に出たのに、牧野さん、ずっと本を読んでるから」
171:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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なんだか身もふたもない鈴蘭ちゃんの言葉に、だけど雪さんは笑顔でうなずいた。
172:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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彼女はスタイルがいいから、そういうことをされると目のやり場に困ってしまう。
173:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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だいたい、ここで自分から謝らなければきっと、その機会すら与えてもらえなくなる。
174:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:34.59 7vIhLjSS
「大丈夫ですよ。ただ、ちょっと、ぼうっとしてしまって」
175:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「マリアちゃん、打っていいよ」
176:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「嫉妬ぉ?」
177:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「悲しい? どうして?」
178:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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目を閉じれば闇。
179:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「じゃあ、そのせいだね、きっと」
180:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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けど…なんて名前だっけ?
181:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:34.59 7vIhLjSS
「寝ぼけていますの?」
182:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「僕に当てはまることは、花梨にも…」
183:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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涙を流しながら、必死に伸ばされた彼女の小さな手に、僕は…
184:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「…和泉より、私のことが好き? 牧野さんより?」
185:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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和泉ちゃんの目から、ポロポロと、涙があふれた。
186:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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それは何も僕に限った話じゃない。
187:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「わからない…」
188:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:34.82 7vIhLjSS
「ぅー、ぅー」
189:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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僕とは、かなり扱いが違うようだ。
190:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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和泉ちゃんは、スカートのすそをきゅっと握りしめると、言葉の半ばでうつむいてしまった。
191:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「そうじゃなくて…」
192:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「あ…ごめん、僕がわからない所を聞いたりしたからだね」
193:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:34.85 7vIhLjSS
マリアちゃんまで手が回らないのは申しわけないけど、今日はアリスの奴隷だから諦めてもらおう。
194:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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花梨とは仲良くしたい、でも自分が傷つくことはしたくない―
195:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「止められなかったか?」
196:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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考えちゃいけないはずの言葉が、僕の頭の中を支配していた。
197:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「牧野、さん?」
198:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「この辺のつづらとか、開けちゃっていいの?」
199:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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『ウサギはね、月の生き物なの』
200:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「おねえちゃんばっかりじゃなくて、私のことも好きになってくださいね」
201:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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こっそり練習したのは、内緒にしておこう。
202:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「あ…おはよう、ございます」
203:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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指先に、ぬるぬるしたものがまとわりつくようになった頃、マリアちゃんが切なげな声で言った。
204:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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花梨も気づいたのか、さっと顔を赤らめた。
205:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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僕に対する呼称が変化したのは、違う人格に入れ替わっていたから。
206:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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それで、やっと見つけたと思った居場所は、やっぱり幻だった―だから、泣いている。
207:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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『透矢、雪は…』
208:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「あ、失礼しました。宮代さんをお待たせしてしまいますものね。参りましょう」
209:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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(しかし、なぁ)
210:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「う、うん…それもあるけど…」
211:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「驚かせようと思ってね。行こう」
212:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「そうですよね。じゃあ、私は、そうなるように頑張ります」
213:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「僕たちの見るあの夢は…」
214:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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ぬっ、と庄一、
215:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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巻き上がった砂煙の中、不愉快そうに顔をしかめた雪さんの言葉に、僕は深々とうなずいていた。
216:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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花梨は言葉とは裏腹に、僕の首へ手を回して、再び自分から腰を動かしはじめた。
217:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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吐きそうだった。
218:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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兄妹なら、名前を呼ばれただけで、そんなに幸せそうな顔をしないでほしい…
219:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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妙に野太い声で言った。
220:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「…してください。じゃないと、雪、眠れません」
221:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ホントだ。ここ、ちょっと面会時間が短すぎるんじゃない?」
222:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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だいぶ緊張している。
223:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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自覚して、泥沼にはまった。
224:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「花梨の巫女さん姿か。見てみたいね」
225:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「あ、ああ」
226:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.32 7vIhLjSS
「ごちそうさま」
227:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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雪さんの匂いなんて意識したせいか、妙に目が冴えて眠れない。
228:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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かすかなふくらみの中で、ぴん、と存在を誇示するように立ったピンク色の突起。
229:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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そうだ、ここは夢の世界。
230:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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服が体に張りついて気持ち悪い。
231:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.32 7vIhLjSS
見上げた空にはウサギをかたどった風船が、ぷかぷか、ぷかぷか―
232:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.36 7vIhLjSS
床に散らばっているのは、雪さんの湯飲み茶碗とガラス製のきれいな受け皿がいくつか。
233:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.48 7vIhLjSS
そして僕は、この子の笑顔を守っていこう。
234:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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思い出せ。
235:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:34.99 7vIhLjSS
結果、しめつけは厳しくなり、射精感が一気に加速される。
236:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.51 7vIhLjSS
「透矢さっ…だ、めぇ…」
237:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.56 7vIhLjSS
ほほに添えた手に、ふわりと彼女の手が重なる。
238:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:36.22 7vIhLjSS
「わかった、それでいいよ」
239: オオメジロザメ(北海道)
10/05/05 11:27:35.57 Y+ROvkzC
ここ最近の規制三昧も相まってお前らのフラストレーション大爆発だな。
240:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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ポッとほほを赤らめ、空いたほうの手の人差し指の先を軽く口に含む。
241:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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だけど、今日も和泉ちゃんは現れなかった。
242:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.46 7vIhLjSS
「う、うるさいな! キミ、下僕のくせにひとこと多いぞ」
243:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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口の中が、彼女の性器でいっぱいになった。
244:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.46 7vIhLjSS
「ぁっ…ぁん…」
245:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.57 7vIhLjSS
「この前、知り合いの人もピーターパンを読んでたんだ。それで、ちょっとおどろいた」
246:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.56 7vIhLjSS
「和泉の声、すごく可愛いよ。もっと聞かせてほしいな」
247:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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(シャワー、浴びてこよう…)
248:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.57 7vIhLjSS
「男の子も、ここ、いいんだ?」
249:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「マリアちゃん、それは違うよ。アリスはそんなつもりじゃない」
250:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「これからそうではなくなる。私が彼女の中に入れば、それで儀式は完成する」
251:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.57 7vIhLjSS
「花梨ちゃんも? まだ始めたばっかりだけど頑張ってるんだ」
252:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.56 7vIhLjSS
「雪が…? 海で、疲れたのかな」
253:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ごめんね」
254:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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…本当は来たかったんじゃないか。
255:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:36.27 7vIhLjSS
「みたいだね」
256:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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このひとひらは、僕たちと同じなのかもしれない。
257:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:35.06 7vIhLjSS
「ええ。さ、そろそろお眠りなさい」
258:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「落ちてたって、僕のかばんの中に?」
259:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「…うーん。可愛いよ、すごく」
260:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「でしたら、明日でよろしいですか?」
261:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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花梨が触りたくなる気持ちも、わかるような気がした。
262:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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ちょっぴり熱そうに、口の中をもくもく動かして、ごくん。
263:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「そうね。どうせ叶わぬ恋だし」
264:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「それにしても、あんなちっちゃい子たちにまで手をつけようなんて、もうなんでもアリだね、キミ」
265:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「だから、そういうんじゃないってば。彼女たちは、なんていうか、妹みたいなものだよ」
266:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「…まあ、ね」
267:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「しつこいなぁ。勝手にしたら」
268:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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きれいにその姿を見せた彼女の局部から愛液が、まるで、先ほどの放尿の時のように吹き出した。
269:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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どうだ、と花梨が胸を張った―と思ったら、がくっとうなだれた。
270:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:37.31 7vIhLjSS
でも…けっきょく、なんなんだろうな、あの場所は。
271:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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腕にあたる胸の感触と、下腹部に当たるお尻の感触が…毒だ。
272:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「素直にタクシーでもなんでも、お願いすれば良かったよ」
273:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「だ、駄目です! これは…」
274:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「透矢ちゃーん、大丈夫?」
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「っぁ、ぁふ…」
276:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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その代わりに、アリスは大粒の涙をこぼした。
277:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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僕には念じることしかできなかった。
278:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「なんとなく、わかったつもりだよ」
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「もう朝練の時間だってば」
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僕には、何もしてあげられない。
281:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「いだだだだだ!」
282:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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マヨイガ―少なくとも、この向こう側には、それがあるような気がした。
283:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:37.34 7vIhLjSS
「宮代さんが、舞に失敗してしまって、泣き崩れて…その後…彼女は目覚めないんですの」
284:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「雪さん…あったかくて、気持ちいい…」
285:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「あいつ、上がり症なんだ。練習の実力を発揮すりゃ、誰にも負けるわけないんだけどな…」
286:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「透矢さん…透矢さん…」
287:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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ちょっと、元気がなかったな。
288:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ぅ…ん…」
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「おっぱい、出るようになった?」
290:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:37.76 7vIhLjSS
「あは、嘘だよ。それが今までの私だったんだから、仕方ないよね」
291:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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腰を突きだすたびに、僕のものからは先走ったものがあふれ、彼女の中を汚した。
292:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「い、ず、み?」
293:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「じゃあ、遊んでー」
294:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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記憶が戻る時。
295:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:37.86 7vIhLjSS
もし、僕が平然と弓を引けたら、こんなふうになれただろうか?
296:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:37.64 7vIhLjSS
でも、そんな僕の喜びとは裏腹に、舞台を降りた彼女は、すこぶる不満そうな顔をしていた。
297:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ありがとうって、馬鹿だなぁ。そもそも蹴ったのは私じゃない」
298:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:38.02 7vIhLjSS
典型的な高熱による症状だ。
299:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:27:38.03 7vIhLjSS
「透矢ちゃーん、ごほうびー」
300:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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言いかけると、彼女はそれを止めるように、背中へ回した手に力をこめた。
301:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「ところで」
302:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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そこに浮かぶ、ぼんやりとした輪郭。
303:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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僕と仲がいいのか、やたらに密着してる写真が多くて少し恥ずかしい。
304:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「任せて」
305:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「精霊流しは、お盆の送り日なんかにやる儀式よ。マリアも、お盆くらい、わかるでしょう?」
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彼女の肌は、本当に、同じ人間とは思えないくらい白くて、いかにもサラサラしていそうで…
307:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「我が部きっての射手だよ。記憶があろうとなかろうと、ああいうことは体が覚えてるもんだろ」
308:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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アリスが小馬鹿にしたように笑う。
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うなずき返すと、和泉ちゃんは僕の手を取り、気をつかってか、ずいぶんゆっくり泳ぎ始めた。
310:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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背中越しにも、花梨の頭に血が昇っていくのがわかった。
311:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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さすがに、マリアちゃんも顔を真っ赤にしてうろたえている。
312: ウマヅラハギ(静岡県)
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化物語!
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「なんてことするのぉ…」
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「それは、困りそうですね」
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「アリスは、嫌かな?」
316:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「うん。なんだかんだで相手しちゃってるし。けっきょく、なつかれちゃってるのよねー……?」
317:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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ただ、試合があるだけの朝なのに…
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ふくらみはほとんど無いのに柔らかかった。
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「ええ、きっと、そうですわ」
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つまり、僕は一生―
321:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「雪はあいかわらず固いんだから。じゃ、二人とも、またね」
322:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「男は別。マリアは私に似て可愛いんだから、気をつけないと」
323:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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まず、物語の主役といえる男女、七波とナナミ。
324:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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もっとも、その印象は、僕の機嫌の悪さに起因していると考えられなくもない。
325:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「和泉さん自身が決めたことですよ。一生会えないわけでもないでしょうし、元気を出してくださいね」
326:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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僕も、もう―
327:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「そんなの今さらだよ。ぜんぶ知ってるもん。なにせ片思いが長かったんだから」
328:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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落ち込んでいるだろうとは思っていたけど、実際に見た彼女の様子は、僕の予想をはるかに越えていた。
329:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「裏にあるのは、あれか、防空壕」
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歩きながら、さっきの光景を思い返す。
331:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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門を施錠していたものだ。
332:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「それなら、正規の得点になるほうを勉強したほうがいいんじゃない…」
333:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「旦那様、何も見えず、何もわからずという状態が、どういったものか、おわかりになりますか?」
334:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「それは、当たり前でしょう?」
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「雪さん、きのうは…」
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ぺこぺこ―マリアちゃんが、あわてて頭を下げる。
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試しに、入り口のところに中指をあてがい、押し広げるようにしてやると、彼女の体は悦びに震えた。
338:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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僕だって、そういう事情を知ってしまった今、一概に開発を否定しようっていう気持ちにはなれない。
339:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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そして、その上に自分の両手を重ね、祈るようなポーズを取った。
340:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「い、いや…だってさ…」
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「っ…あはは…」
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「デート、してくれる?」
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そして、夜には、二人は幾度と無く抱き合った。
344:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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「あとで、どうなってんのか、詳しく説明してもらうかんな」
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僕は、手を、離した。
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心配そうな雪さんの声で我に返ると、
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そうささやき、彼女は縫い目の上に置かれた僕の手に、再び自分の手を重ねた。
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「冗談で、こんなこと言わないよ」
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「ここは、いつからこうなのかな?」
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と話を進めた。
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「本当に告白だけだった? 和泉と何かしたの?」
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「あ」
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このまま開発が続けば、そう遠くない未来には、ここにも、人のための道ができたりするんだろうか。
354:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
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普通に考えて、先約なんだから花梨を優先すべきだろう。
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庄一の、鋭く叫ぶような声に、みんなが仕込まれていたように、ざっ、といっせいに座り込んだ。
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「違うの…透矢は、なんにも悪くない」
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どうしてなんだろう?
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「透矢、和泉は大げさだから、適当に聞き流しておいてね」
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「頭のてっぺんからつま先まで、舐めるような視線を感じたんですけど」
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「透矢くん…帰ろうよ…」
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「確かに、まさか殺人の現場を見せられるとは…」
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「妹プレイしてたじゃない」
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波音がする。
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「その話は、お兄さんから聞いた?」
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「和泉さんと一緒にいるものと、思いこんでいました…」
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「うー」
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まるで物語の中の出来事のような事が彼女と一緒にいる時に起こった。
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僕の中で、試合の失敗と現在の彼女の様子を結びつけることは、残念ながら、できなかった。
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結果だけを知っているっていうことは、何も知らないっていうことと、同じようなものなんだ。
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つづらの中には、ボロきれみたいなものが詰まっていた。
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扉の向こうから現れたのは、手いっぱいの花をかかえた、女の子。
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顔をあげた和泉ちゃんと目が合って、僕の鼓動は一気に速まった。
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「駄目かな。僕も、一人より二人のほうが心強いし」
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「ごもっとも」
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夜風のせいかもしれない。
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子供の頃は、こんなふうだったのかもしれない。
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また、無言電話…
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「あ…ぅ…」
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すれ違いざま、彼女はそうつぶやき、道場を去っていった。
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和泉ちゃんが、少しだけ、遠い存在に感じられた。
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だからなのか、単に夢で慣れてしまったのか、今回は落ちついたものだ。
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「はぁ、何が花梨をそこまで」
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「謝らなくていいよ。気にしてないから」
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そうだ、僕は彼女を知っている。
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「動くよ?」
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「いや、あのー、確かに雪さんと離れるのが怖い気持ちはあるけど、そこまでされちゃうと…」
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「真っ赤ですよ。ぼんやりしていますし、調子が悪いんじゃありません?」
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「もっと…」
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誰かに見守っていてほしいと。
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「なんだと思います?」
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確かな像を結び始めた視界の向こうで、女は幸せそうに笑っていた。
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「透矢…透矢…」
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「怒ってたというより…痛いところを突かれてムキになってた。花梨の言い分は、もっともだったし」
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「だって、部活とかお祭りとか、これで意外と忙しいんだもん」
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「なんかわかるけど、緊張ねぇ」
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「っまぁ…」
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「え? あぅ…べ、別に、そんなに大きくならなくても…」
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「野郎の面倒見るのはごめんでーす」
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「…どうかしてる。お人好しにも程があるわよ」
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「からかっていますの? いつも通り、ナナミと呼んでくださいな」
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不思議そうな顔をされてしまった。
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「そんなことないって。それに、友達なんだから、何かある時はお互いさまだよ」
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「透矢ちゃんの、おち…」
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「おはよう。仲直り、できたの?」
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「あんた、それに関してはプロだもんね」
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(わざわざ買ってきたのかなぁ)
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「雪さんが、いなくなってからだよ」
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「怪(あやかし)…」
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「はぅぅぅ、おね~ひゃふ、ひたひ~」
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まさか、神様を見たっていうことはないだろうけど、気になる存在なのは確かだし好都合だ。
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「僕が出るからいいよ」
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「勝手に上がり込んで、ぜんぶ支度したくせに…」
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「和泉、また明日ね」
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すると、徐々に道が狭まり、悪路が目立つようになり始める。
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僕はゴム弓を手に持ち、それを引く直前のポーズまで取ったところで、動くのをやめた。
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何度もわき上がるその衝動だけどうにか押し殺して、僕は…、
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退院してあっという間の三週間だった。
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身振り手振りをまじえながら話すマリアちゃんの肩口には、きれいな水着の跡が見えた。
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「いや…何も用事がなければつき合うと思うけど」
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僕が楽だからって、記憶喪失の自分を容認しているのは…たぶん、いけない。
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「アリスも、いい?」
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「ううん。透矢くんがいなかったら、私は今ごろ…」
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どっと疲れて肩を落とすと、庄一が近づいてきた。
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「明日、本番だよね」
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「あの女がキツネの耳やら尻尾やらを隠しているとでも思った?」
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「別にいいさ。ほれ、お子様は暗くなる前に帰りな」
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「どいつもこいつも和泉には甘いなぁ」
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結論だけを伝えてマリアちゃんを挑発すれば、反発する気持ちは、ひとまずアリスに向かうはずだ。
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なったけど、何もできなかった。
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「透矢が…ショーツ、ぎゅうぎゅうってするからだよぉ」
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「そんなことないですよ。愚痴を聞いてもらって、すっきりしちゃいました!」
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女の子は両手でホウキをかかえたまま、もじもじと落ちつきなく体を揺すった。
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「はっ…よくよく愛されたものだな…存在もしないものが」
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10/05/05 11:28:07.10 lwqbmRru
「…どこで覚えたわけ、そんなこと」
435:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.10 lwqbmRru
「アリス、叩くのは…ね」
436:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.09 lwqbmRru
「夢とか?」
437:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.10 lwqbmRru
「え? ああ、さっきのこと」
438:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.15 lwqbmRru
「…本当に、このまま部活に出席されるんですか?」
439:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.19 lwqbmRru
和泉ちゃんと、ふたりになる機会を作ってくれたのかもしれない。
440:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.25 lwqbmRru
「ありがとうございます。それでは、今日だけ、家のことを、よろしくお願いしますね」
441:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.25 lwqbmRru
「ふーん。キミ、私とキスする想像なんかしたことあるんだ?」
442:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.26 lwqbmRru
静かな時。
443:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.25 lwqbmRru
「あは。透矢さん、私にも…」
444:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.25 lwqbmRru
「さあ」
445:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.25 lwqbmRru
「雪はもう、いいんです」
446:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.20 lwqbmRru
「ふふ、かぐや姫の伝説は、確かにマヨイガとこの世界との物語かもしれませんわね」
447:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.27 lwqbmRru
近くで顔を見たわけじゃないから分からないけど、もしかしたら双子なのかもしれない。
448:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.27 lwqbmRru
「ったいなぁ…もぉぉ…」
449:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.27 lwqbmRru
「…ここは」
450:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.28 lwqbmRru
「ううん、そう思ってもらえると助かる」
451:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.27 lwqbmRru
「お姉ちゃん、するとかしないって、なんの話?」
452:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.27 lwqbmRru
「じゃあ、悪いんだけど、ちょっと出られる?」
453:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.27 lwqbmRru
知ってしまったことで、わからなくなることがあるなんて思わなかった。
454:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.34 lwqbmRru
でも、地面を蹴る音が不安で、やっぱり振り返った。
455:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.26 lwqbmRru
どう考えても、人間がたちうちできるものじゃない。
456:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.48 lwqbmRru
「普通はそうよね。それじゃあ、悪いんだけど、聞かなかったことにしておいて」
457:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.49 lwqbmRru
それにひきかえ、
458:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.50 lwqbmRru
彼女がいてくれないと不安になる。
459:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.52 lwqbmRru
「駄目ぇ…まだ、早いよぉ…」
460:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.52 lwqbmRru
「ひとりでやってみよう。駄目そうなら、すぐに言ってくれればいいから」
461:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.52 lwqbmRru
となると、本当のことか?
462:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.52 lwqbmRru
「…子供じゃないんだから」
463:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.52 lwqbmRru
…なんの話をしているのやら。
464:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.51 lwqbmRru
マリアちゃんが自分の体を抱きしめるようにしながら、小さな体を身震いさせた。
465:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.53 lwqbmRru
言いながら、雪さんは僕の着ているシャツを見て『ああ』と、合点がいった様子でうなずいた。
466:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.53 lwqbmRru
女の子とのやりとりを終えて戻った僕に雪さんは、
467:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.52 lwqbmRru
『ですから、そんなものなんだと思いますよ、常識なんて』
468:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.53 lwqbmRru
―では、そろそろ行きましょうか。
469:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.53 lwqbmRru
指定された場所は、マヨイガ。
470:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.56 lwqbmRru
言葉にしてみると、その響きはおどろくほど自然に自分の中へ染みこんでいった。
471:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.57 lwqbmRru
「悪くもないのに謝らないでよ」
472:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.56 lwqbmRru
それに、そんなことをすれば、もういちど彼女に会える可能性までも断たれてしまう。
473:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.61 lwqbmRru
七夕、精霊流し、ちょうちん―
474:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
「よろしいんですの、脱がなくても」
475:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.64 lwqbmRru
「相変わらずだよねぇ、キミは」
476:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
「あがり症だし?」
477:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
「透矢、こ、これ、苦しくないの?」
478:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
「今日は良く笑ってくれるね」
479:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
「あれは…」
480:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.66 lwqbmRru
アルバムはぜんぶで五冊あった。
481:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
「ママの言うことを聞きなさい。おねんねのおまじないを、してあげますから」
482:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
思わず、身を乗り出した。
483:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
マヨイガ、神隠し―あれも夢や幻の一部だったのか…?
484:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.65 lwqbmRru
さっきのベンチも…そうだ。
485:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.73 lwqbmRru
おかえり、ナナミ―
486:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.75 lwqbmRru
『ほら、お月様では、ウサギがお餅をついているって、教えたでしょう?』
487:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.70 lwqbmRru
マリアちゃんは空気で何かを察しているのか、怯えるようにアリスの服のすそをつかんで離さない。
488:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.70 lwqbmRru
「あは、は…やっぱさ、私たちってこういうの駄目だねぇ。本気で恥ずかしい」
489:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.79 lwqbmRru
「僕のことはいいんだよ。雪さんが、ひとりのほうがいいって言うならあきらめるけど」
490:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.78 lwqbmRru
仕方ないから、入り口の辺りで、出したり入れたりをくり返した。
491:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.79 lwqbmRru
意思のやどらない瞳、青ざめた白い肌、氷のように冷たい体。
492:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.78 lwqbmRru
「…参ったな。ちょっと、悩みというか、辛いことがあって」
493:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.74 lwqbmRru
「わたくしは、和泉さんと、これまで通りでよろしいですわね?」
494:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.83 lwqbmRru
「大丈夫ですよ。何も心配しなくて、大丈夫です」
495:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.84 lwqbmRru
「な…なんで、そんなことを僕に話すんですか」
496:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.84 lwqbmRru
彼女の待つ場所に向かおう。
497:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.88 lwqbmRru
「安心できないよぉ…った!」
498:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:07.89 lwqbmRru
「じゃあ、医者に…」
499:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.02 lwqbmRru
と、それ以上の思考をさえぎろうとするように扉が開いた。
500:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.03 lwqbmRru
そう言った牧野さんは、でも、やっぱりいつもより寂しげで、
501:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.05 lwqbmRru
聞かせたところで、納得なんかしてもらえないだろう。
502:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.06 lwqbmRru
「いえ、言い出したのは雪ですから…」
503:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.07 lwqbmRru
「おーい、頼むからそーいう暗い顔で見送りするな。呪いでもかけられてる気分だぜ」
504: アオメエソ(茨城県)
10/05/05 11:28:08.08 +I/7adGe
さすがaKOちゃんやで
505:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.10 lwqbmRru
本音をもらしてしまった。
506:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.11 lwqbmRru
どこか学校に通っているわけでもないのに、雪さんは勉強ができる人だ。
507:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.13 lwqbmRru
自信は…持てなかった。
508:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.14 lwqbmRru
「え? きゃっ…いっ…ぃ!」
509:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.15 lwqbmRru
「…それで、和泉は私に舞をやめろって言うわけ?」
510:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.17 lwqbmRru
「ごめんね、いいよ、和泉ちゃんで。私も我慢できなくなっちゃった」
511:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.18 lwqbmRru
花梨は、うれしそうに手を握り、身を寄せてきた。
512:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.19 lwqbmRru
「それは、まあ」
513:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.20 lwqbmRru
「舐めちゃ、駄目だよ?」
514:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.21 lwqbmRru
うなずき返すと、和泉ちゃんはにこにこ笑って、僕をさらに底へと導いた。
515:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.22 lwqbmRru
少なくとも、これではっきりした。
516:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.24 lwqbmRru
「あの人は、そんなんじゃないよ。感謝なんかしないで」
517:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.25 lwqbmRru
「アリスも、そろそろいい?」
518:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.26 lwqbmRru
どうにも、父さんの言い分は、もっともらしくもあれば、詭弁めいてもいる。
519:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.28 lwqbmRru
「おい、しっかりしろ!」
520:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.30 lwqbmRru
「ママがいなくなっちゃって、おねえちゃんともケンカしちゃって…」
521:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.31 lwqbmRru
「スイカ割りー」
522:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.32 lwqbmRru
「まっすぐまっすぐ…はい、そこです」
523:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.34 lwqbmRru
万事が父さんの想像の域を出ない話ばかりだからだろう。
524:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.34 lwqbmRru
「透矢さんでも…魔女の子は、受け入れられませんか?」
525:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.36 lwqbmRru
「…まあ、そういう割り振りになるだろうね」
526:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.39 lwqbmRru
「和泉ちゃんのスクール水着のストックでも借りてくりゃいいだろ」
527:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.41 lwqbmRru
卑怯者…。
528:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.41 lwqbmRru
「秘密基地? へえ…でも、秘密なのに僕を連れていっちゃって、いいの?」
529:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.44 lwqbmRru
家業が医者であり、父さんも当然の流れでその跡をつぐはずだった。
530:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.49 lwqbmRru
「ここ…んっ…気持ちいいですか?」
531:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.50 lwqbmRru
「和泉の手紙に、ごめんなさいって、あったのね」
532:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.51 lwqbmRru
“ざっぱーーーん”
533:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.55 lwqbmRru
スパッツの中をひとしきり撫で終えたところで、小さな体を机の上にのせた。
534:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.56 lwqbmRru
短冊は一枚しかない。
535:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.57 lwqbmRru
次に目を開いた時、彼女が目覚めていたらいいな、なんてことを考えながら。
536:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.58 lwqbmRru
(これは…)
537:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:08.59 lwqbmRru
「透矢さん? 少々お待ち下さい」
538: コショウダイ(東京都)
10/05/05 11:28:14.17 XjIu9tZH
すごい一体感を感じる
世界にも勝てそうだ
539: ムツゴロウ(和歌山県)
10/05/05 11:28:19.49 K2eLs2Gz
w
540: ヒメ(西日本)
10/05/05 11:28:20.03 YFe5LkjG
なんだこれは・・・たまげたなぁ
541: アオザメ
10/05/05 11:28:22.10 9pXT8kFF
なにここ
542: スジシマドジョウ(千葉県)
10/05/05 11:28:24.79 tbl0Omfr
イ  ̄ ン -ー' ̄ 二 、
/ メ 、 / ` 、
イ ! / / i / / ! !
ノ 〈 / / /! ハ ノ ハ !
l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z ! !
ーr'´ニェ 、 , _ェォ=、 く /
i \ / ̄} イ  ̄ }ー ! /
!  ̄ ノ ゝ - イ Yヽ
! い メ ′ /
! ィ=== 、 Λイ
! ムエエエ九ヽ /
l ` ー一 ` //
/i > _ _ イ Λ
_ -‐./:.:.:.:l!  ̄ /:.:.i、
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∪l l_∩∪ l l 丶ヽ ⊂ニ、ヽ / / 丶ヽ 〈 ニニ ヽ
└― ┘ ∪⊂ ⊃ ヽ> ⊂ン 丶ニニ⊃ ヽ> (三`_ノ
543: タイガーレッドテールキャットフィッシュ(中部地方)
10/05/05 11:28:25.68 7C8WIOOv
神曲きたああああああああああああああああああああ
544: アオメエソ(dion軍)
10/05/05 11:28:28.57 0bRr4l0X
きったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
545: アメリカン・シクリッド(静岡県)
10/05/05 11:28:32.49 9HJhBuvv
※鳥肌注意※
546: ライギョ(滋賀県)
10/05/05 11:28:33.22 /sR2Ch9Z
奈々きたあああ
547: アオメエソ(アラバマ州)
10/05/05 11:28:33.57 ouV3NrZe
>>542
ヽ、,jトttツf( ノ
\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
=、..,,,ニ;ヲ_ ヾ彡r''"^
``ミミ, i'⌒! ミミ=- イ  ̄ ン -ー' ̄ 二 、
= -三t f゙'ー'l ,三``'' / メ 、 / ` 、
,シ彡、 lト l! ,:ミ'' イ ! / / i / / ! !
/ ^'''7 ├''ヾ! ノ 〈 / / /! ハ ノ ハ !
/ l ト、 \ l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z ! !
〃ミ ,r''f! l! ヽ. ーr'´ニェ 、 , _ェォ=、 く /
ノ , ,イ,: l! , ,j! ., ト、 i \ / ̄} イ  ̄ }ー ! /
/ ィ,/ :' ':. l ヽ. 、 !  ̄ ノ ゝ - イ Yヽ
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/' ヽ. リ ! ムエエエ九ヽ /
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548: シマダイ(アラバマ州)
10/05/05 11:28:34.86 bsUsimxC
イ  ̄ ン -ー' ̄ 二 、
/ メ 、 / ` 、
イ ! / / i / / ! !
ノ 〈 / / /! ハ ノ ハ !
l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z ! !
ーr'´ニェ 、 , _ェォ=、 く /
i \ / ̄} イ  ̄ }ー ! /
!  ̄ ノ ゝ - イ Yヽ
! い メ ′ /
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549: モルミルス(東京都)
10/05/05 11:28:35.50 Qaq+zQrN
くこか
550: キホウボウ(三重県)
10/05/05 11:28:38.38 nqpzA4Ws
水樹か
551: イスズミ(福井県)
10/05/05 11:28:40.29 qwJcq3E2
きたた「
552: スリースポットグラミー
10/05/05 11:28:41.31 VVvkiYcx
なんだこのスレw
553: オオセ(東京都)
10/05/05 11:28:42.66 BbM/OpwN
イ  ̄ ン -ー' ̄ 二 、
/ メ 、 / ` 、
イ ! / / i / / ! !
ノ 〈 / / /! ハ ノ ハ !
l/ 二 ゝ ノ/ ン二 z ! !
ーr'´ニェ 、 , _ェォ=、 く /
i \ / ̄} イ  ̄ }ー ! /
!  ̄ ノ ゝ - イ Yヽ
! い メ ′ /
! ィ=== 、 Λイ
! ムエエエ九ヽ /
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554: アオメエソ(千葉県)
10/05/05 11:28:44.33 1hm1ZLj7
ホワイトアルバムは
みずきななのためだけにある。
555: アカマンボウ(東京都)
10/05/05 11:28:44.64 +aMpI/21
これは胸熱・・・
全世界を敵に回してもなんたら
556: イトヨリダイ(兵庫県)
10/05/05 11:28:46.13 W/MGqP+o
っここか
557: アオメエソ(神奈川県)
10/05/05 11:28:46.75 pwqcopju
ようやく本気出してきたな
558: ユカタハタ(千葉県)
10/05/05 11:28:49.85 x/iO6Bcy
自演石川の素が見えた瞬間だったな
559: アブラソコムツ(関西地方)
10/05/05 11:28:50.22 C9NLMTJm
ここでいいのか?
560:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.64 OkdRfgrZ
誰の言葉だったのか、覚えていないけどお笑いぐさだ。
561:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.67 OkdRfgrZ
じぃっと僕の顔をのぞきこむ花梨。
562:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.64 OkdRfgrZ
「じゃあ、和泉ちゃん、さっきの子なんだけど」
563:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.05 OkdRfgrZ
「別に、そういうんじゃないんだけど」
564:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.05 OkdRfgrZ
「雪さん、もうちょっと昇ってみようと思うんだけど、いい?」
565:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.83 OkdRfgrZ
「制服がですか?」
566:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.06 OkdRfgrZ
「ぁ…ぅ、ううん…気持ちいい…」
567:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.06 OkdRfgrZ
僕の事なんてお見通しなのか、アリスがニコニコと威圧してくる。
568:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.10 OkdRfgrZ
「お、お見合い? 和泉ちゃんが? どうして!?」
569:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.61 OkdRfgrZ
僕は、そんな彼女のほっぺたを、指先でぎゅーっと押した。
570:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.10 OkdRfgrZ
友達は、みんないなくなったり入院していたりするし…彼女のほうばかり見ているからだろうか。
571:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.10 OkdRfgrZ
「遅いよ、もう。男の長話なんてロクなもんじゃないに決まってるんだから。で、庄一は?」
572:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.12 OkdRfgrZ
ふと、雪さんの言葉が思い出された。
573:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.11 OkdRfgrZ
恐らく、僕の記憶の中に眠っていた声。
574:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.13 OkdRfgrZ
「んー、たぶん寝てた」
575:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.71 OkdRfgrZ
「隠してないよ…痛いったら」
576:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.17 OkdRfgrZ
「なんか、難しいんだけど」
577:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.66 OkdRfgrZ
『…はは、なんか、雪さんはどうしても僕に、その事を信じさせたいみたいだ』
578:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.67 OkdRfgrZ
雪さんは、文字にしたら語尾に『!』でもつきそうな勢いで言って、顔を背けてしまった。
579:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.72 OkdRfgrZ
「やっぱり、那波ちゃんのことが気になるんだね」
580:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.91 OkdRfgrZ
「緊張してるんだ…ね?」
581:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.12 OkdRfgrZ
和泉ちゃんが、飛びかかった意識をすくい上げてくれた。
582:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.69 OkdRfgrZ
ほっぺたに口づけをして、彼女は…
583:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.83 OkdRfgrZ
“ぼかっ”
584:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.63 OkdRfgrZ
でも、和泉ちゃんは不満な顔をするでもなく、無表情に顔をふせるばかりだった。
585:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.96 OkdRfgrZ
彼女は、それを思って…また夢の中みたいなことをするんだろうか、と。
586:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.98 OkdRfgrZ
「透矢さん、こちらをご覧になっていただけますか?」
587:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.99 OkdRfgrZ
「あー、あのね、悪いんだけど、僕はこれから病院に行かないといけなくて…」
588:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.97 OkdRfgrZ
涙が、浮かんでいた。
589:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.22 OkdRfgrZ
「あ…ごめん。雪さん、さっきの、もういちど言ってくれないかな?」
590:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.23 OkdRfgrZ
何かある、ということはなかった。
591:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.22 OkdRfgrZ
僕は、またゆっくりと腰を前後させ始めた。
592:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.23 OkdRfgrZ
「マリア、よけいなこと言うんじゃないわよ」
593:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.23 OkdRfgrZ
そして、それを僕の座る椅子にぴったりと寄せ、いそいそと腰を下ろす。
594:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.02 OkdRfgrZ
問題なしじゃないと思うんだけどなぁ…と言いたげな顔で和泉ちゃんが、こっそり苦笑していた。
595:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.22 OkdRfgrZ
泣いていた。
596:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.00 OkdRfgrZ
「あ、いえ! でもあの、どうして、私の心配なんてしてくれるんですか」
597:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.35 OkdRfgrZ
ひらひらのワンピースは汗で体に張り付き、いつも自慢げに、ふわふわ揺れていた髪も重そうだ。
598:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.34 OkdRfgrZ
「ごめんね。七夕の日に見ちゃって…」
599:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.35 OkdRfgrZ
たぶん、僕より慣れてるっていうのが、男としては複雑なところだけど。
600:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.34 OkdRfgrZ
「だって、放っておいたら僕の前からいなくなっちゃうんでしょう?」
601:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.25 OkdRfgrZ
「悪いけど遠慮するわ。ちょっと状態が特殊だから、ハンパな事をされると悪影響が出かねないのよ」
602:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.54 OkdRfgrZ
「女の子の気持ち…甘く考えすぎ」
603:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.54 OkdRfgrZ
そんな考えが頭をよぎっておかしくなった。
604:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
口の中が、彼女の性器でいっぱいになった。
605:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「雪は…」
606:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
雪さんが僕のことを好きなのは間違いないだろうし、僕だって、雪さんの事が好きだ。
607:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「神様の名前ですよ」
608:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「はは…どうだろう」
609:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
花梨が、胸を攻められるのに弱いのは、もう明らかだ。
610:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「あ、なに…」
611:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「…私がなぁに?」
612:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
これで何度目だろう、那波が絶頂に達したのは。
613:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「しかし、久しぶりに見たけどホントに速いな。花梨だって、女子のほうじゃ、かなり速いだろ?」
614:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「我が部きっての射手だよ。記憶があろうとなかろうと、ああいうことは体が覚えてるもんだろ」
615:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.62 OkdRfgrZ
「ちょっと、指が…」
616:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「あ、そうそう…それよりさ、聞きたいことがあるんだ。父さんの本に書いてあった事で、ちょっと…」
617:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.62 OkdRfgrZ
「はぁ、人の足をよだれまみれにして、何やってるんだか、この底なし馬鹿は」
618:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.58 OkdRfgrZ
「じゃあ、一緒に連れてってよ。荷物持ちくらいするから」
619:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.55 OkdRfgrZ
「冗談だったのになぁ…和泉、あとはよろしく」
620:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.58 OkdRfgrZ
「まあね。ここまで伸びると、切るに切れなくて」
621:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.76 OkdRfgrZ
「実際にあった事だからよ」
622:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「ほとんどな。今日も、向こうの都合で休みになっただけだし」
623:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「そうか、期末テスト。期末テストかぁ」
624:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「僕も、そうみたいだ」
625:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
でも、目印は見つからなくて。
626:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
―少し、考えさせてほしいんだ。
627:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「それで、帰ってきたんだよね?」
628:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「ええ、それが雪のお仕事なんですから、どうかお気になさらずに」
629:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「ちがうよ…っく…透矢だから…っ…がまんできるって…だからぁ…」
630:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
彼女が言っていたのは、そういった内容のことだった。
631:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「宮代さんの、晴れ舞台ですものね」
632:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
僕は、徐々に彼女のされるがままになっていった。
633:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.79 OkdRfgrZ
「怖い夢を、見られたんですか?」
634:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.77 OkdRfgrZ
「まいったな」
635:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.88 OkdRfgrZ
「なに…ここ」
636:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.88 OkdRfgrZ
てっきり、もう女の子に譲ってしまったと思っていたのに。
637:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.89 OkdRfgrZ
「いつまでも夢からお帰りにならないようでしたら、雪が、起こしてさしあげますけど」
638:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.91 OkdRfgrZ
いよいよ動物扱いだ。
639:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.93 OkdRfgrZ
「聞こえていたということは、起きていたということじゃありませんか」
640:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.91 OkdRfgrZ
「どっちかっていうと、せっかく来てくれたんだから、他の人より、雪さんを優先したいんだけど…」
641:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.94 OkdRfgrZ
「自我が、薄い?」
642:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.93 OkdRfgrZ
今となっては、あの夢が現実に起こったこと、それらをきっかけにして作られたものだとは考えづらい。
643:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.94 OkdRfgrZ
「わはーわはーわはー」
644:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.94 OkdRfgrZ
悪い時には、悪いことが重なってしまうものだな…
645:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.94 OkdRfgrZ
「優しいんですのね」
646:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.92 OkdRfgrZ
ほんの数秒で、事が済んでしまった。
647:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.94 OkdRfgrZ
「…約束した記憶はないんだけどなぁ」
648:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.95 OkdRfgrZ
どうも一緒に本を読めるのがうれしいらしい。
649:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.96 OkdRfgrZ
声が聞こえていないのか、それとも聞こえていたからなのか、水の勢いは増すばかり。
650:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.03 OkdRfgrZ
彼女は目が見えないわけだし、車の中からじゃ、気配も何もないはずだ。
651:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.98 OkdRfgrZ
「仕方ないなぁ…」
652:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:52.98 OkdRfgrZ
そんなところまで一緒なのか…
653:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.05 OkdRfgrZ
「本当ですの」
654:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.06 OkdRfgrZ
舌をうごかすたびに、アリスの唇が開かれていく。
655:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.07 OkdRfgrZ
そんな彼女が、子供じみたおまじないを人目も気にせず真剣におこなっている。
656:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.08 OkdRfgrZ
流しに血を吐き出して、うがい。
657:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.09 OkdRfgrZ
「はぁぁ…」
658:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.11 OkdRfgrZ
「失礼します。コーヒーのほうが入りましたので、お持ちしました」
659:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:51.68 OkdRfgrZ
「気にしなくていいよ。それより急がなくちゃ」
660:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.13 OkdRfgrZ
ふと、そんな考えがよぎった。
661:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.15 OkdRfgrZ
「大丈夫だよ…大丈夫…」
662:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.33 OkdRfgrZ
「明日の夜」
663:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.34 OkdRfgrZ
「わかったよ…もう…」
664:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.36 OkdRfgrZ
「僕は大丈夫だよ。あんな話された後じゃ心配だしね」
665:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.37 OkdRfgrZ
「うん。教えたっけ?」
666:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.38 OkdRfgrZ
「バイト代出たから、おごるぜ」
667:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.38 OkdRfgrZ
「ごちそうさま」
668:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.39 OkdRfgrZ
夢は、いつか覚めるんだ。
669:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.41 OkdRfgrZ
雪さんが、僕を想ってしてくれるのは、はずかしいけど、うれしい。
670:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.43 OkdRfgrZ
「んー、別に嫌いとは言わないけどさ」
671:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.43 OkdRfgrZ
常世への門、開かれた…その先にある、美しい世界。
672:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.44 OkdRfgrZ
「まだ、家に戻られていないと。心当たりはありませんか?」
673:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.47 OkdRfgrZ
『ま、おまえが期待されてるってほうが正 しいんだけどな』
674:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.49 OkdRfgrZ
「ありがとうございます。それでは、今日だけ、家のことを、よろしくお願いしますね」
675:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.50 OkdRfgrZ
「あなただけなら、それでもいいわよ。私や透矢を巻き込まないで」
676:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.51 OkdRfgrZ
「だって、もうメイドさんじゃないから。雪さんは、今から瀬能雪」
677:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.52 OkdRfgrZ
ひんやりとした空気が流れ出していた。
678:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.53 OkdRfgrZ
「するって…」
679:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.54 OkdRfgrZ
「大丈夫です。…昨晩、遅くまでアルバムを見ていたりしましたから、少し、寝不足なのかもしれません」
680:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.56 OkdRfgrZ
そして、意識は闇の中へ…。
681:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.58 OkdRfgrZ
和泉ちゃんからお見舞いにもらった、おいしいと評判のクッキーよりもおいしい。
682:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.59 OkdRfgrZ
僕は、少しずつペースを上げていくことにした。
683:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.60 OkdRfgrZ
「ふふ…良かったですね、花梨さんも」
684:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.62 OkdRfgrZ
「送り迎えまでしていただいて…図々しいとわかっていても、目が、これなので、つい」
685:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.63 OkdRfgrZ
「……宮代さん、遅いねぇ」
686:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.64 OkdRfgrZ
「そうか…そうかもしれないな」
687:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.65 OkdRfgrZ
「そっか。あ…ごめん、嫌なこと聞いて」
688:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.67 OkdRfgrZ
「もうちょっとだなんて…嫌です。もっとたくさんしてくださらないと」
689:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.67 OkdRfgrZ
「僕だって、引けるものなら引きたいよ。でも、本当に引けないんだ」
690:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.70 OkdRfgrZ
なのに、僕は彼女を抱いた。
691:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.68 OkdRfgrZ
「なるわけないじゃないか」
692:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.70 OkdRfgrZ
陽が傾き始めていた。
693:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.71 OkdRfgrZ
砂利を踏む音で、我に返った。
694:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.73 OkdRfgrZ
「言いながら足を上げるな…俺じゃなきゃ男として生きていけなくなるところだったぜ」
695:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.74 OkdRfgrZ
「雪さんの夢を見るのはいいんだけど、内容が内容だからなぁ…」
696:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.78 OkdRfgrZ
「那波………お帰り」
697:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.79 OkdRfgrZ
「では、夢のお話ですわ。事象の連続性については、おわかりいただけました?」
698:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.81 OkdRfgrZ
「それだけが取り柄だよ。ま、あのバカ兄妹のことはいいとして、そろそろ行こうか」
699:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.81 OkdRfgrZ
「そう? まあ、言っても殴るだけだし、そのほうがいいとは思うけど」
700:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.83 OkdRfgrZ
「ほらほら、ぼーっとしてないで窓くらい開ける。いい天気なんだから」
701:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.84 OkdRfgrZ
「放課後って…和泉ちゃんは部活とかないの?」
702:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.86 OkdRfgrZ
…今まで、彼女からされてきた、どんな行為よりも、痛い。
703:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.86 OkdRfgrZ
盛りのついた犬みたいに、少女は、激しく、淫らに腰を上下させる。
704:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.90 OkdRfgrZ
生に執着する、醜い、
705:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.88 OkdRfgrZ
「は? いや、ぜんぜん怒ってないよ」
706:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.89 OkdRfgrZ
「ううん。それより、本当に車とか出さなくて大丈夫?」
707:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.92 OkdRfgrZ
「それ、もう論外」
708:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.94 OkdRfgrZ
「っ~~~、っ~~~」
709:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.96 OkdRfgrZ
「よろしく。あの、ところで、さっきの女の子は大丈夫なの?」
710:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.95 OkdRfgrZ
「…投げたりするんですもの、せっかくの贈り物が、壊れてしまいましたわ」
711:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.99 OkdRfgrZ
入院中、何度か聞かされた、記憶障害についての説明。
712:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:53.99 OkdRfgrZ
ベッドに転がり込むと、すぐ、抗いがたい眠気に襲われた。
713:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.01 OkdRfgrZ
でも、わざとらしく腕を組んできたところを見ると、半分は嘘に違いない。
714:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.01 OkdRfgrZ
「うん、部活と補習が終わったら行く」
715:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.04 OkdRfgrZ
“ガサガサ…”
716:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.03 OkdRfgrZ
「ふふ…それは冗談としても、那波は、ときどき見ますわ、透矢さんに片思いしている夢を」
717:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.05 OkdRfgrZ
恋人と友人がいて、いつでも、友人より恋人を大切にしないと、いけないんだろうか?
718:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.07 OkdRfgrZ
「素直じゃないんだから」
719:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.08 OkdRfgrZ
「キスなんて、言うから」
720:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.09 OkdRfgrZ
和泉ちゃんは、少し躊躇してから僕の手を取った。
721:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.10 OkdRfgrZ
そんなこと、見当がついていないとでも思ったのか?
722:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.12 OkdRfgrZ
牧野さんに、キツネの耳と尻尾?
723:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.13 OkdRfgrZ
傷ついても、傷つくのがわかっていても花梨はそれに立ち向かった。
724:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.14 OkdRfgrZ
「ナナミですわ」
725:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.15 OkdRfgrZ
「旦那さま」
726:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.21 OkdRfgrZ
「…まあ、そういう割り振りになるだろうね」
727:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.36 OkdRfgrZ
急激に矢をささえる、指先の力が抜け落ちた。
728: メチニス(愛知県)
10/05/05 11:28:54.14 0QDPdkLg
なんだここはw
729:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.38 OkdRfgrZ
和泉ちゃんは少し苦しそうな声をあげたけど、僕は力をゆるめなかった。
730:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.39 OkdRfgrZ
と、本人を見るも、相変わらず熟睡中。
731:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.41 OkdRfgrZ
彼女にとっての居場所っていうのは要するに家庭のことで…
732:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.41 OkdRfgrZ
だからこそ、マリアちゃんは、安心して甘えていられる。
733:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.53 OkdRfgrZ
いつの間に?―背後でたたずむ、小さな女の子に向けられていた。
734:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.57 OkdRfgrZ
数週間分の授業の内容を一気に取り戻すという作業は、想像しただけで頭の痛くなるものだった。
735:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.58 OkdRfgrZ
勉強そっちのけで、弓道に打ち込みすぎたか…。
736:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.59 OkdRfgrZ
「ああ。おまえさ、和泉ちゃんから告白されたんだろ?」
737:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.60 OkdRfgrZ
「雪さん…?」
738:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.62 OkdRfgrZ
彼女はいつも、背中越しに訴えていたんだ。
739:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.63 OkdRfgrZ
「ええ。お祭りの前と後で、特に…」
740:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.65 OkdRfgrZ
「なあ…もし、俺の言ったことを気にしてるなら、今から追いかけてもいいぜ?」
741:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.67 OkdRfgrZ
「申しわけありませんでした。もう、大丈夫ですわ」
742:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.68 OkdRfgrZ
「庄一で頼む。おまえには違和感があるかもしれないが、なに、すぐ慣れるさ」
743:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.69 OkdRfgrZ
時間の問題だったのかもしれない。
744:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.70 OkdRfgrZ
「ぎゅー」
745:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.71 OkdRfgrZ
「ありがとう。ええっと…まず、僕の名前は、透矢でいいのかな?」
746:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.72 OkdRfgrZ
彼女は、あのとき『旦那さま』と言っていた。
747:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.74 OkdRfgrZ
キツネだろうが妹だろうが、同じようになつかせるあたりが、なかなか恐ろしい。
748:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.78 OkdRfgrZ
「?」
749:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.77 OkdRfgrZ
和泉ちゃんが、立ち上がった。
750:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.76 OkdRfgrZ
そのマリアちゃんが、わずかに身をよじらせた。
751:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.79 OkdRfgrZ
「仕方ないじゃないか、そういう性格なんだから」
752:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.80 OkdRfgrZ
「うるさい! マリア…」
753:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.82 OkdRfgrZ
独特の張りつめた空気。
754:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.82 OkdRfgrZ
和泉ちゃんが、立ち上がった。
755:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.83 OkdRfgrZ
「今日のは、和泉が暴れるから不可抗力だよ。だけどさ、男だって、比べっこくらいはするでしょう?」
756:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.85 OkdRfgrZ
この炎天下だっていうのに、白い顔はさらに青ざめ、死人のようになっていた。
757:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.86 OkdRfgrZ
雪さんに簡単な言付けをして、僕は彼女が待つであろう、海岸へ向かった。
758:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.87 OkdRfgrZ
(だけど、なぁ…)
759:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.88 OkdRfgrZ
「え? あ、ぁぁ…そうかな」
760:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.89 OkdRfgrZ
思わず、身を乗り出した。
761:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.90 OkdRfgrZ
僕を死に引き込む音。
762:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.92 OkdRfgrZ
よほど怖い思いをしたんだろう。
763:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.93 OkdRfgrZ
「入れるんだ?」
764:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.94 OkdRfgrZ
「ならば…」
765:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:54.98 OkdRfgrZ
「だね」
766:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.06 OkdRfgrZ
「私は女の子だからいいの。初めてのときは、男の子がリードするものだよ」
767:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.08 OkdRfgrZ
どう断ったものかと困っていると、
768:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.10 OkdRfgrZ
「那波、こんな人の言う事を聞いちゃ…」
769:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.10 OkdRfgrZ
「あー」
770:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.12 OkdRfgrZ
「いいけどね。きのう、何時まで起きてたの? 僕が見かけた時点で二時だったはずだよ」
771:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.14 OkdRfgrZ
「透矢さん。雪も、透矢さんと一緒にいられて幸せですよ」
772:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.15 OkdRfgrZ
「頭が、こんがらがってきた」
773:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.17 OkdRfgrZ
だから、きっと止められない―けど、黙っていられるほど器用でもない。
774:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.19 OkdRfgrZ
偶然なのか、彼女の視線の先には雪さんの背中があった。
775:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.20 OkdRfgrZ
「明日、本番だよね」
776:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.21 OkdRfgrZ
「こればっかりはどうしようもないな」
777:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.22 OkdRfgrZ
空いた手で、局部の上のほうに顔を覗かせた突起をいじり、身もだえし、それでも体をゆすり続けた。
778:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.24 OkdRfgrZ
「何があったの?」
779:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.25 OkdRfgrZ
「うん…いっ…いいからぁ…」
780:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.27 OkdRfgrZ
「わたくしも、ご一緒させてくださいな」
781:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.28 OkdRfgrZ
「おいでおいで…」
782:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.29 OkdRfgrZ
「仕方ないじゃないか、思い出せないものは思い出せないんだから」
783:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.31 OkdRfgrZ
雪さんがあまり真剣な顔で話すものだから、僕もそれなりの覚悟は決めていた。
784:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.32 OkdRfgrZ
「透矢ちゃん、大丈夫?」
785:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.33 OkdRfgrZ
首から下げた石をちらつかせる。
786: ヒメ(東京都)
10/05/05 11:28:54.96 8nFNGHZq
心にぐっと来る
787:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.35 OkdRfgrZ
よほどスピードを出しているのか、ガリガリという砂利を巻き込む音がここまで聞こえてくる。
788:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.36 OkdRfgrZ
「あのあと、僕と牧野さんは転んで…転んだけど、本当に、それだけだったかな」
789:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.40 OkdRfgrZ
「あっさりしてるなぁ。本当に大丈夫?」
790:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.41 OkdRfgrZ
話を聞かせると、アリスは不機嫌そうに頭を抱え込んだ。
791:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.42 OkdRfgrZ
「僕、今日はやめておくよ」
792:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.44 OkdRfgrZ
でも、どうして彼女にそんな思いをさせてしまったのかわからなくて、それが、ひどくもどかしかった。
793:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.45 OkdRfgrZ
「残念ながらな」
794:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.46 OkdRfgrZ
ほめられて、よっぽどうれしかったのか雪さんは鼻歌まじりにお茶を注ぎ始めた。
795:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.48 OkdRfgrZ
そこには、誰もいなかった。
796:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.49 OkdRfgrZ
家族がいて、少しの友達がいて、あとは退屈なだけの日常があって、
797:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.50 OkdRfgrZ
「…絶対に外に出すなって言ったじゃないか」
798:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.55 OkdRfgrZ
「よく、似合ってるよ」
799:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.56 OkdRfgrZ
取り立てて何、っていう話題があったわけでもなかったのに、楽しい時間が過ぎるのって、本当に早い。
800:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.57 OkdRfgrZ
「みんな来たー。何して遊…ぶふっ!」
801:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.59 OkdRfgrZ
「透矢さん、失礼します」
802:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.60 OkdRfgrZ
彼女はそれを伝うように、再び顔を近づけ、唇の表面をわずかに触れあわせると、
803:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.62 OkdRfgrZ
「ちょっとマリア、どこ行ってたの? 心配するでしょう?」
804:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.64 OkdRfgrZ
「はは、仕方ないよ。それで、雪さんもああいう事に興味があるの?」
805:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.66 OkdRfgrZ
「いつか、どこかで」
806:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.67 OkdRfgrZ
「へ、変なこと言わないで」
807:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.69 OkdRfgrZ
「な!?」
808:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.71 OkdRfgrZ
「ほめ言葉だぜ」
809:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.72 OkdRfgrZ
「あのー、和泉ちゃん、その本なら俺も読んだんだけど」
810:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.74 OkdRfgrZ
「あらあら。どうされたんです?」
811:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.75 OkdRfgrZ
どことなくぼんやりとした返事だった。
812:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.77 OkdRfgrZ
手をのばせば真っ青に染められてしまいそうな、雲ひとつない空。
813:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.78 OkdRfgrZ
彼女は覚えていないと言ったが…なぜだか、覚えている。
814:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.79 OkdRfgrZ
まさか、夢で会いましたか、とは言えないし…
815:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.81 OkdRfgrZ
「お前らしいけど…こんな時くらい部活の事は忘れてもいいんじゃねーか?」
816:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.84 OkdRfgrZ
「知るか!」
817:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.85 OkdRfgrZ
「じゃあ、僕はそろそろ行くね」
818:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.87 OkdRfgrZ
「おねーちゃん! 透矢さん、次はきっと勝てますから、頑張りましょうね」
819:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.88 OkdRfgrZ
牧野さんは、ズボンの上からでもはっきりわかるほど隆起したそれを、手の平で優しく包み込んだ。
820:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.90 OkdRfgrZ
首をかしげていると、さらに、
821:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.92 OkdRfgrZ
ママが見ていてくれる。
822:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.93 OkdRfgrZ
「…いいけど、狭いよ」
823:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.94 OkdRfgrZ
ざっ―地面を蹴る音がして。
824:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.96 OkdRfgrZ
「ふん、私たちは邪魔ってわけ?」
825:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.98 OkdRfgrZ
いくら目上の人間とはいえ、失礼な態度だ。
826:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:55.99 OkdRfgrZ
やっぱり、聞こえるものは気になってしまうらしい。
827:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.01 OkdRfgrZ
「みんなに優しくされたら、甘えちゃう。そのために、他の人に会わないんだよ」
828:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.03 OkdRfgrZ
「いない? 神主さんがいなくて、大丈夫なの?」
829:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.04 OkdRfgrZ
「きのうみたいになっちゃったら、どうするつもり?」
830:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.06 OkdRfgrZ
「来年だけじゃない。再来年も、その先もね」
831:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.07 OkdRfgrZ
「和泉のことが心配だって、顔に書いてあるのに、なんで、そういう中途ハンパなことするの?」
832:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.09 OkdRfgrZ
だけど、話してみれば、理解できる部分もある。
833:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.12 OkdRfgrZ
「子供が目を覚ますのは…お母様のヒザの上と決まっていますわ」
834:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.14 OkdRfgrZ
「ぁ…は、はい!」
835:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.16 OkdRfgrZ
せっかくいつもの調子に戻ったのに、悲しそうな顔になってしまった。
836:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.18 OkdRfgrZ
和泉ちゃんがいなきゃ…
837:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.19 OkdRfgrZ
「和泉、今日はやめとく?」
838:九鳳院 紫 ◆aLICeotiAI
10/05/05 11:28:56.23 OkdRfgrZ
「ふふ。今だから白状しますけど、雪、病気の時は、よくタヌキ寝入りをしていたんです」