09/12/31 11:58:40.40 Lx40tEdr BE:2136175889-PLT(12000) ポイント特典
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’09取材帳から:/10止 ダウン症男性の書 /宮城
◇言葉への感性教えられ
「せっかく生まれてきたのに……。せっかく生まれてきたんだから……。おこらないでほしい。やさしくしてほしい。むりですか」。
力強く、かすれた部分もある書の写真を見た時、私はドキッとした。強い意志と優しさを併せ持ち、書いた人の気持ちが伝わってくる言葉、書体だと感じたからだ。
毛筆で仕上げたのは、織物を教えている高橋玲子さん(62)=仙台市太白区=の次男、圭史さん(34)。ダウン症の圭史さんは玲子さんに投げ掛けた一言をそのまま記した。
高橋さん親子と知り合ったのは、6月に仙台市青葉区の勾当台公園で行われた「とっておきの音楽祭」の取材だった。
障害のある人もない人も共に音楽を楽しもうというイベントで、高橋玲子さんに感想を尋ねたのをきっかけに、2人のこれまでの人生の一端に触れることができた。
玲子さんは17年前、がんで夫の晃さんを亡くして以来、2人の子供を育て上げた。障害を持つ子供に、教科書通りにやらせる学校の教育方針に矛盾を感じ、
「子供のやりたいと思うことをのびのびやらせてやるには親が動くしかないと思った」という。こう話す玲子さんは、作品の生まれた経緯を話してくれた。
圭史さんは養護学校高等部を卒業後、苦労してクリーニング店に就職した。むせかえるような熱風の中での丸1日の立ち仕事。
元々病気で筋肉が弱い圭史さんを玲子さんは「つらかったと思います」と思いやる。
働いて9年目。圭史さんは、新しく入ってきた人との関係になじめず、精神的にもまいってしまい、働けなくなった。
ショックは大きく、自宅から出られなくなった。何をするにもゆっくりした動作になってしまった圭史さんを、玲子さんがせかした時がある。その時、圭史さんがつぶやくように発したのが冒頭の言葉だ。
「自分がつらい時期にしかられて、嫌だったろうに人を責める語彙(ごい)は全くない。
それどころか普段忘れてしまっている生まれてきたことの感謝の気持ちが込められているよう」。
玲子さんはハッとした。そして、圭史さんに、書道家だった晃さんの筆を持たせ、紙に書き留めさせた。
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