09/09/24 20:27:55.79 6T7eJm9o BE:346177692-PLT(12300) ポイント特典
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「土地のにおい」
知人のオーストラリア人が成田空港に着いた途端、生臭いにおいをかいで「それは
間違いなく魚のにおいだ」といったという話を、作家の浅田次郎氏が雑誌『スカイワード』
のエッセーで紹介していた。
▼海外の空港に降りると、その土地独特のにおいがあることに気付く。韓国では
ニンニク、中国は八角、メキシコでもインドネシアでもハワイでも独特のにおいがある。
その国でよく使う香辛料や花、香水、食物のにおいだ。
▼それをかぐたびに、ああ外国に来たんだ、という実感がわく。ところが10分もたたない
うちに気にならなくなり、やがてにおいがあることすら忘れてしまう。慣れてしまうからだろう。
▼1ドル360円の時代、初めての海外旅行で出掛けた韓国の金浦空港は、強烈なニンニク
とトウガラシのにおいで満ちていた。数日間の旅行を終えて帰国すると、しばらくは家族や
友人からニンニク臭いといわれたことを思い出す。汗からもトウガラシのにおいがするように思った。
▼ところが最近は、韓国から帰国しても誰もにおいについていわなくなった。海外旅行が
大衆化し、つい隣町に行く感覚で旅行に出る人が増えて、異国のにおいが共有されるように
なったからかもしれない。最近の空港が清潔になり、昔ほどにはにおわなくなったこともあるだろう。
消臭化も徹底している。
▼しかし、においが象徴していた国の個性が失われていくようで、少々寂しい気持ちもする。 (翠)
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