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鯨イルカ・イデオロギーを考える(Ⅳ) ― ジョン・C・リリーの場合 ―
4.イルカ研究者はいかにしてマッドサイエンティストになったか
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リリーは脳の研究からイルカに興味を持ったわけだが、自伝の記述を見る限り時代の限界が濃厚で、例えば
イルカはゴリラやチンパンジーより大きな脳を持っているから知性に優れているはずだというような記述に
なっている。或いは、ヒトの脳でチンパンジーより大きい部分が抽象化などの高度な能力をになっており、
イルカにあってはその部分がヒトよりさらに大きいから、高度であるといったおおざっぱな断定がなされて
いる(226以下)。現代では脳は単に大きいかどうかでは優劣が決められず、部分ごとの機能や、皮質の厚さや
皮質内の神経の密度などによっても能力に大きな差が出ることが分かっている。
~中略~
リリーはイルカの脳を切片化して顕微鏡で調べた結果として、大脳皮質の細胞密度は人間とほぼ同一だと
している。そしてそれ以前の同種の研究ではイルカの大脳皮質の細胞密度は人間よりいくぶん低いとされて
いたことに対して、それは死後変化のためではないか、と述べている。5) しかし、脳に関する知見は
その後進んでおり、大脳皮質の細胞柱は平均して1個あたり108の神経細胞を含んでいるのに、イルカでは
その3分の1に過ぎないという報告が出ている。6) こうした研究は80年代以降になされたもので、60年
前後に第一期研究をしていたリリーが知らないのは当然のことである。ただし現在でも脳細胞と知能との関係
は明確になっているとは言えない。